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トラブルバスターズ01
【SF 官能小説】

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トラブルバスターズ01 [二章]-7

『一足一刀の間』
一歩踏み込む事で相手を打突する事の出来る距離。
ガンズスパイダーはミリィの間とも知らずにその内側で機体を固定する必要があるミサイルを発射してしまったのだ。
結果はこの通り、懐に入られて、ミリィの得物をそのまま巨大化したような高出力のレーザの刃で真っ二つに捌かれた。
ミリィとは、マイクロミサイルの煙を挟んで反対側のガンズスパイダーにも衝撃が襲う。
爆煙を押しのけ弾丸が飛来したのだ。
装甲が紙のように曲がり、1トン以上あるガンズスパイダーが空中をきりもみして後方にいた別の機体に衝突し、爆発炎上する。
弾道を中心に煙が霧散するとそこには、降り注いだミサイルなど無かったように[ヘブン]は肩に大きな筒を担いでいた。
スラリと伸びた砲身を残りのガンズスパイダーにも一時は向けたが、バーニィは
「やめた。弾代がもったいない」
そう言って、長い砲身を邪魔にならない様に背中に戻した。
「普通のなんでも屋ならこれで十分でも」
目の前の戦闘機械には見向きもせず背を向けて、ザイードへ向かって歩き出す。
反撃の好機(チャンス)と簡易AIは判断したのだろう、生き残ったガンズスパイダー装備された、機関銃がヘブンの背中に向かって火を噴いた。
しかし、背中に何十発何百発もの銃弾を受けてもよろめき一つ無い。
銃声が止んだ。
「私達は荒事専門なのよ」
代わりにジャンクに刃を突き立てたミリィの声が響く。
全てのガンズスパイダーはジャンクと化していた。
ザイードとマリナ、バーニィとミリィの四人だけになったと思われた次の瞬間、
ヘブンが突然、爆発音と共に弾かれるように吹き飛んだ。
ドン!
巨大ドームを揺るがす程の衝撃音が一瞬遅れて響く!!

壁と衝突するだけでは止まらず、壁を砕いてヘブンの巨躯が埋まる。
「リゴベールの奴は俺と違って、前触れ無く撃ってくるぞ…てもう死んでるか」
戦車砲のような、まさに大砲を持った男が反対側のスタンドにいた。
また、やられたのだ。
挨拶一つ無しにリゴベールがミリィに銃口向ける。
「不意打ちばかり…卑怯者ね」
銃口を向けられてもミリィは平然と罵る。
ドッドン!
衝撃音が再び響く!
「痛いじゃないか。お返しだ」
倒れたままの体勢から肩の二つ砲を担いで弾を撃っていた。
ザイードもリゴベールも十分な威力だと思っていただけにこれには驚いた。
しかし彼らに驚いている時間はなかった。
放たれた弾丸は天井を支える柱に着弾すると爆発してセントラルドームの天井を大きく砕いた。
天井だった瓦礫が重力に引かれてリゴベールとザイードを襲う。
「小賢しい」
リゴベールの砲が危険な瓦礫を砕く。
しかし、落ちてきたのは瓦礫だけではなかった。
自由落下よりも遥かに速い速度で黒い影がさす。
大きな黒い影…レイのPSレイブンだ。
背中に飛行ユニットと呼ばれる大型のブースターと飛行翼と呼ばれる主翼で構成された特殊なユニットを装備して、その名の通り大鴉(オオガラス)のように空を飛んで来たのだ。
着地することなくライフルが火を吹いた
タン!タン!タン!タン!
乾いた音が数度響く。
狙いはザイードか?リゴベールか?
バキッ!!
狙いは人ではなかった。
マリナを磔にした十字架が根元から折れる。
地面に倒れてゆく十字架ごとマリナを空中で抱きとめる。
それは、一瞬の出来事だった。
そして、そのまま何事もなかったように地に脚すら付けずに入って来た時と同じように天井の穴から夜空へと消えていったのも一瞬だった。


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