蒼い殺意-10
異性がこの部屋に来ることなど、一度も無かった。誘うこともなかったが、断られるのが当たり前と思っている彼だ。いや、もっと言えば、恐かったのだ、断られるのが。他人との繋がりを持ちたがらない彼の裏返しは、まさにそれであったろうと、私は思う。
「体に毒よ!あなた、いつもそんなことばかり考えているの?だとしたら、異常よ!私が来ないと思っていたんでしょう!・・・そうね、私も迷ったもの。こんなことお母さんに話そうものなら、泣いて叱られるわ、きっと。でも、あなたに馬鹿にされるのも嫌だったし。」
突き刺すような視線と、真綿で首を絞めるような棘のある口調(と、彼は受け止めているが、私にはそうは思えないのだが)。
女学生の服装ー真っ赤なミニスカートに、グリーンのブラウスという原色の組み合わせに、彼はたじろぐばかりだった。制服に隠されていた乙女の脚は、彼の目に眩しい。温くなった苦いお茶をグッと飲み込むと、
「いつもそんな服か!」と、たしなめるように強く言った。
女学生の目がキラリと光り、妖艶さを漂わせつつ
「ふふ・・」と笑った。