万華(その2)-4
私が見たあの一枚の写真…
それは、全裸のふたりの男が抱き合うようにソファに腰をおろした写真だった。
ひとりは確かに夫の喬史だった。まだ夫が学生時代の頃の写真だろうか。そして夫が肩を抱き、
その唇を寄せていたのがアキラだった。まだ高校生くらいのアキラは、肩にかかる黒髪を首筋に
絡め、その女のような華奢な肢体を晒していた。
薄い胸と悩ましいくらいの括れた腰つき、そして羞恥の付け根を恥じらうように内股に閉じた
太腿からは、すらりと伸びた美しい脚をしていた。
それに何よりも夫の肌と比べると雪のように白く艶やかな肌が私の嫉妬を掻き立てた。
そして夫の片方の手は、アキラの股間の付け根の白い性器に伸びていた。まるで処女の産毛に
覆われた陰部に生えたようなアキラの柔らかそうな肉棒を、夫は掌で包み込むように握りしめて
いるようだった。
そのとき私は、写真を持つ手が小刻みに震え、自分の目を疑った。笑みを浮かべた喬史の目が
まるで私を蔑むように見つめているような気がした。それは晒された私の性器を笑いものにされ
たような恥辱そのものだった。
喬史は、ほんとうは私を必要としていなかったのではないか…
数年前、私はアキラと初めて出会った。
そして私は欲望のままにアキラの体を金で買ったのだった…。