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異世界の放浪者
【ファンタジー 恋愛小説】

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異世界の放浪者 第四話-1

「登さん?もう朝ですよ?早くしないと朝ご飯冷めてしまいます」
俺の体を揺すって少々困り顔をしつつ、懸命に起こすポポ。
「あともう少し…」
「そう言ってもう結構経ってますよ〜」
目覚ましだとパッと起きれるがどうも人に起こされるとなると起きれない。
目覚ましを使う前は親に起こして貰っていた。だが二度寝をするようになり、それを繰り返す俺に痺れを切らしたある日目覚ましを手渡され。
「もう一人で起きなさい」
っと言われた。それ以来だ。
その昔の感覚が今頭のなかでグルグルと駆け回っていた。
そんな感覚に襲われている最中、ポポが揺する手を止めた。
(諦めたか…んじゃおやすみ…)
そう心の中で呟き、再び深い眠りに付こうかと思った時だった。
生暖かくちょっと湿っぽい物が俺の頬を伝っていった。
(なんかヌメヌメしてて…舌のような…ん?舌!?)
目をパッと開き、壁を背に感覚のしたほうを見る。そこには俺の顔があったあたりに顔を近付けるポポの姿があった。
「ポポ!お前なにやった!?」
「何って…舐めました」
あっけらかんと笑って答えるポポ。
「何考えてるんだ!?」
「何って…別に何も?だって登さん起きないですし。それに舐めるだけで大袈裟ですよ。昔ペロペロ舐めてたじゃないですか」
ケラケラ笑う。
「昔と今を一緒にするな!!」
ちゃぶ台一つひっくり返したい気分だ。



この世界に来て二日目。
召喚魔法でこの世界に召喚され、俺を召喚した張本人、昔少し世話をした犬のポポの家で過ごす事になったのだが…。少し一緒に過ごしただけで色々わかった事があった。
料理がうまい。懐っこい。いかなる時も敬語を使う。
っといったところだ。
料理は昨日の昼飯と晩飯と食べたがどれもかなりの腕の物だった。ただ問題は…



「なんだこれ!?」
「朝ご飯です」
そう主張してテーブルの上に置いてある食べ物は今にも零れんばかりに皿の上にてんこ盛りに盛ってある。これが昨日困っていた。とゆうか今も困っている。何故こんなに作れるかわからんが量が半端なく多かった。
「朝にこんなに…」
「いっぱい食べて下さいね」
ニコニコと笑顔を作り言い放つポポ。
いや無理に決まってるだろと突っ込みたいがあえて突っ込まないでおこう。



まぁ懐っこいのはなんとなくわかると思う。さっきの舐めたのなんてなんの恥ずかしいと言った感じの様子が見えない。人になってもポポは犬らしい面影を残したままらしい。犬らしいとはなんなのかわからないが…。
それと昨日はあんなに謙虚だったのに今となっては少々砕けて接して来ている。自分としてはやりやすいが、舐めるのは行き過ぎだ。
あとはポポの言葉使いだ。何故か知らないが全部敬語で最初、俺の名前を呼ぶ時に呼び捨てにするように修正したが、〔くん〕から〔さん〕に変わっただけだった。ポポの思考回路はどうなってるか知りたいものだ。



「取りあえず…ほら食べましょうよ」
俺の腕を嬉しそうに引っ張り、尻尾を左右に振る。
何が嬉しいのかわからないが取りあえず食べる事にしよう。
俺はポポに吊られイスについたのだった。


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