異世界の放浪者 第三話-2
「それからその方は毎日来てくれました。学校の行く前に私のところに来てミルクや食べ物を置いて行ってくれました。私はその食べ物によって体調は良好になり元気よく育ちました。休みの日には一日中私と一緒に遊んでくれたり…色々とよくしてくれました。そしてその少年は私にポポと名付けて自分の名前を言ってきました。天月登と…」
俺の顔を見て言うその目はどこか懐かしそうな雰囲気を出していた。自分はそのことはうる覚えだが覚えていた。あの子犬が今、人の姿をして目の前にいる。これ程不思議な感覚はなかった。
「ですが一か月ほど経ち、私は大規模な大量召喚によりこの世界に来てしまいました。この世界にきてちょっとしてから人間の形になる魔法をかけられ普通に口が聞けたり魔法の効果で人間並の寿命までのびたりこの世界にきてそんな事がありました。そして大きくなって私はふと思いました。なんのお礼もあの人に出来なかったと。今は人間の言葉が話せる。だから私は一生懸命魔法を覚え召喚魔法を扱えるようにし、あなたを召喚しお礼をしたかった。ありがとうと…」
昔突然いなくなった子犬はこの世界の放浪者となって今俺の目の前にいる。
ポポがいなくなった時、俺はあっちこっち街中を探し回った覚えがある。あの時の必死な思いはいまここで叶った。数年の時を超えて。
「こんな事で召喚してすみません。そしてあの時はありがとうございます」
ポポは俺に頭を深々と下げた。
「また遊ぼう…昔のように…」
俺はそうポポに言った。
また昔のように時間が許す限り…。
一緒に時を共にしたいと思った。
「まぁ良かったわ。まさかこんなに速攻で召喚した魔法使いが見つかるなんてね」
召喚した理由はキッチリしていた。って事になった。この程度の理由で召喚したなら罰を少々与えられてもおかしくないらしいが、召喚された本人が怒ってないって事で罰はなしになった。罰があるかないか、厳しい厳しくないなどは召喚された本人の意思で左右されるとミラルは言う。
「魔法警察の仕事が一つ減ってちょっと良かったわ。」
「ミラルさん警察だったんですか?」
あまりにも警察的な感じにしっかりしてるとは思えなかった。馴々しいところがとくに。なにかの保護団体かと最初は思っていた。
「皆に言われるけどあなたにまで言われるとはね…」
じとーとした目で睨まれる。
「とにかく、約一か月はこの世界で生活ね。ポポさんは登くんよろしくね。っとポポさん家は?」
「あっ…この街にあります」
「ならいいわ。んじゃなにかあったら私のところに来てね」
俺とポポは軽く頭をさげミラルの家を出た。