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彼な私
【少年/少女 恋愛小説】

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彼な私-4

私のセーラーは体育教官室にある。帰りにはこの学ランからセーラーへ着替えて帰る。
‘春樹の好きな奴ってタケ子じゃねーの?’
尚の言葉が蘇る。
―きゃーっ…いや、落ち着いてタケ子っあれは尚のイタズラよっいつもの悪ふざけ!!…よし!!
私、気合いを入れ体育教官室を後にした。
春樹と学校をでて、私は春樹の後ろを歩いている。今の私はセーラーで、きっと女の子に見えてるはず…
「タケ子?」
春樹の声ではっとなり周りを見ると、いつの間にかアクセサリー売り場に来ていた。
「いやん、かわいい!!」
ピアスが並ぶ前に立つ。
―開けたいなーピアス…
「穴開いてないだろ?」
春樹、そう言って私の耳たぶをくいっと引っ張った。
どきんっー
―き、きゃー!!…だめ!!さ、酸素!!
私、顔を伏せたまま、春樹から離れた。
‘春樹の好きな奴ってタケ子じゃねーの?’
また尚の言葉が頭に浮かぶ。
―やーーんっもう、口から心臓でちゃうーー!!
私、店内を当てもなく歩く。
―あ、これかわいい…
やっと落ち着きを取り戻した私は、指輪に手がのびた。ブルーの小さなガラス玉のついた指輪…
「はめてみたら?」
「うん…」
春樹に促されるまま、左の中指にはめてみた。
―や〜ん…かわいい!!
「二千円かぁ〜…どうしようかなぁ〜…」
今月は化粧品を買いすぎてちょっとピンチな私…
「貸せよ」
―え?
私、差し出された春樹の手にゆっくりと指輪をのせる。
―え…え?ええぇぇー?!
指輪を受け取った春樹は迷いなくレジへと向かったのだ。
―ちょっ、ちょっと、春樹?…え?もしかして私に?…いや、そんなわけないよ、そうよ、春樹は誰かのプレゼントを見に来たんだ!!あ、そっか、一人じゃ恥ずかしいから、私を誘ったのか、そうよ、誰かの……だ、誰?!母親?姉妹(きょうだい)?…好きな…人…?
ちくりっ…
私、自分の言葉に傷ついた…そして、何故私を誘ったのか考える。いや…考えるまでもない。私が‘女’じゃないからだ…春樹は‘女’に冷たい。私に優しい春樹、それは、私が春樹にとってきっと‘女’じゃないから…
―…そうだよね…私なら誤解されることないよね…‘男’友達だって言えるもん…
立ち去りたい…でも、私は、春樹に笑っていた。
「飯おごる」
笑顔の春樹…
「うん」
その笑顔を崩さないように私も笑顔を作る。
―…こういうの…慣れなきゃね…
「あ、はい」
―え?
突然立ち止まった春樹、私の前にさっきの指輪を差し出した。
「やる、誕生日だろ?今日」
―え?
頭が真っ白になった…
「安物で悪いけど…まぁ、似合ってたし…」
「あ…りがと…」
―なに?何が起こったの?え?私に?
私の頭は完全に混乱していた。
私、震える手で指輪をはめた。同時に涙がこぼれる。
「泣いてるタケ子も絵になるな」
―…春樹…
春樹が私を好きなのかは分からない…けど、今は‘女’として見られてるのが、すごく…すごく幸せだった…


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