双子月3〜美月〜-4
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静かな校内を、東条は無言で美月を保健室まで運んだ。
「・・・先生、歩けます。」
お姫さまだっこのカッコで抱き上げられている美月は、恥ずかしくなり、おずおずと申告したが、東条は降ろす気配はない。
「黙って運ばれなさい。」
さっきまでの仕打ちとは打って変わって、東条の腕の中は優しかった。
細身の東条だが、美月ぐらい軽々といった感じで持ち上げている。腕や体は予想以上にがっしりとしていて、美月は改めて東条に男性を感じ、頬を染めた。
やがて、保健室に着くと美月はベッドに降ろされた。そうすると、なんとなく安心した気持ちになり、ひそめていた息を小さく吐く。東条を見ると傍らの背もたれのないイスに座り、こちらを見ていた。
「美月、今朝の下着を脱ぎなさい。」
再び美月は緊張し、体を硬直させた。
東条はそれきり、とくに何をするわけでもなく見ている。
次は何をさせられるんだろう、と、東条の様子を伺いながら赤いショーツを脱ぐ。
赤いショーツは濡れていた。
ヌルリとした美月の愛液はレースのショーツでは受け止めきれなかったのか、内股まで濡らしている。
それは美月に、さっきまでの出来事を否応にも思いださせた。そのことで、また美月の体は熱を帯びはじめる。
「脱いだら俺によこしなさい。」
こんなことをされて、こんなに濡れてしまっていることがバレてしまう。
嫌だといいながら、実は悦んでいる淫乱な子だと、東条に思われたくない。
私はそんな子じゃない。
美月の中の葛藤が、ひとつひとつの動きを鈍らせる。
しかし、東条は至って冷静だった。濡れたショーツを受け取っても、表情も変えない。
「落ち着くまで休んでいきなさい。」
それだけ言うと立上がり、カーテンの外へ出て行ってしまった。
あまりにもあっさりと置いていかれた美月は呆気にとられる。
次は何されるんだろうと身構えていただけに、かえって驚いた。そして、置いていかれたてなんだか寂しいような気持ちすら感じた。
(なっ!何考えてるのよ、よかったじゃない、開放されて)
美月は自分の気持ちにはっとした。
あれだけ恥ずかしいことをさせられて嫌だったのに、置いていかれたら寂しいなんて、どうかしている。
私はさっき何か期待していた?
美月は勢いよく毛布にくるまった。
期待って何よ!私は恥ずかしいことをさせられるのを望んでたの?・・・そんなわけない!
目をかたく瞑り、吹っ切るように頭を振る。
私はそんなの望んでなんかいない!私はそんなにエッチな子じゃない・・・こんなこと嫌なのよ。
美月は自分に何度も言い聞かせる。
体の熱はなかなかさがらないまま、うとうとと眠りにつくまで美月の心も体も甘く疼かせた。