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双子月
【学園物 官能小説】

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双子月5〜ふたり〜-8

「葉月・・・それに美月。君たちは幼くして引き離されて、それからきちんと二人で話をしたことがあるのか?」

離婚なんて言葉の意味も知らなかった二人は、ある日突然離れ離れになった。
はじめの頃は互いにのところに遊びに行っていたこともあったが、それも次第になくなり、連絡も途絶えた。
入学した高校で偶然会ったりしなければ、再会する機会さえあったか分からなかった二人が、こうしてまた会うことができた。
それにはやっぱりなにか意味があるのかもしれない。

「葉月、私・・・もっと葉月のこと知りたいよ。」

美月が呟く。

「もっとちゃんと葉月のことが知りたいよ!」

立ち上がり、今度ははっきりとした口調で、葉月を見据える。

「美月・・・。」

葉月も美月をしっかりとみつめ、ゆっくりと口をひらいた。

「・・・私たち、また姉妹になれるかなぁ?」

「なれるよ・・・ううん、なろうよ。」

それから二人は微笑みあい、ぎゅっと抱きしめあった。


・・・・・


「葉月、ここ間違えてる。」

暖かい日差しの差し込む図書館の窓側の席に、二人は座っていた。

「え〜マジ?!も〜さっぱり分かんないっ。」

最近はこうして、二人で勉強をすることが増えていた。今は、英語の授業で出た課題をやっているようだ。
さらさらっと英文を書き上げ、ここはこうだから〜と美月が説明をすると、葉月は熱心にそれに聞き入り、文句を言いながらもきちんと理解し、課題を進めていく。
美月の説明は葉月にはすごく分かりやすいようだ。

あれから1ヵ月。
産休を明けた保健医が戻り、東条は学校を去った。
はじめから短期間の予定だったのだそうだ。
二人は今までの空白を埋めるかように、たくさん話をし、お互いの境遇を知った。
その中で、葉月は知らなかった真実を得た。母親が再婚する時、葉月も引き取りたいと、父親に持ちかけたということだ。
しかし、父親はそれを頑なに拒んだ。
自分もいつか新しい家庭を築いて、葉月を幸せにするから、と。
母親は父親のその言葉を信じ、美月には、葉月もお父さんと新しいお母さんと幸せになるんだと教えていた。だから、私達も幸せになろうね、と。

葉月は、父親と久しぶりに話をするようになった。
美月と偶然同じ高校になったこと。そこで、美月とよく話をしていること。はじめは、うまく話せなかったが、父親は嬉しそうだった。
葉月と父親のすれ違いも、じきに解決するだろう。

美月もまた、母親と新しい父親にそのことを話した。
二人とも安心したような、いい笑顔を浮かべていた。

ずっと昔に狂ってしまった家族の歯車は、再びゆっくりと動きだす。
またひとつの家に戻ることはないけれど、それぞれの心の中には、家族がいた。


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