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双子月
【学園物 官能小説】

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双子月4〜葉月〜-1

昼休みの校内は賑やかだった。

葉月は喧騒から逃れるように屋上へ向かう。
手に持っているコンビニの袋は菓子パンやらおかしやら、甘いものばっかりだ。

今日は快晴で、屋上は気持ち良い風がふいていた。
屋上は立ち入り禁止になっているから誰も来ない。静かで居心地のいい屋上は、葉月の一番のお気に入りの場所だった。
葉月は一番端まで歩いて行くと、そのままそこに座りこむ。コンクリートのひんやりとした感触が、短いスカートから伸びた太股に伝わり、それが心地よく感じられた。
ガサガサと袋からパンを取り出し、頬張ると、ちょうどその時、心地よい静けさは一気にやぶられた。

「葉月〜!やっぱここかぁ。」

朋香は葉月を探していたらしい。絶対ここだと思った〜などと言いながら葉月のところまで小走りで駈けてくる。

「立花美月って葉月の姉ちゃんなんだよね?」

朋香には美月が双子の姉で、親の離婚が元で今は離れて暮らしていると、おおまかに話したことがあった。朋香と付き合いはじめた頃、そっくりだよね〜!と言われ、別に隠していたわけでもないので差し障りのない程度に説明をしたのだ。

「・・・そうだけど、何?」

葉月はさほど興味なさそうにパンをひとつ食べ終えた。

「そのコのクラスのヤツに聞いたんだけどさ〜、なんかさっき倒れちゃったみたいだよ。」

美月は4時限目の授業中に倒れたらしい。ちょうど居合わせた保険医の東条に抱き上げられて、そのまま連れていかれたそうだ。

「・・・ふぅん、そう。」

それを聞いても葉月はとくに動じる様子もなく、パックのミルクティーを口にふくむ。

「歩けないぐらいじゃちょっと心配じゃない?」

「別に。保健室行ったんなら大丈夫じゃん?」

心配する朋香を余所に、もうひとくちストローを吸った。美月は教師受けも良さそうだし、ちゃんと親もいる。まわりの大人たちが然るべき対処をするだろう。そんなふうに思った葉月はあっさりと言ってのけた。

「それに、今さらウチら、ほとんど他人だし。」

「ん〜・・・まぁ、そっか。」

朋香が少し考えてから納得したところで、今度は朋香の携帯が鳴った。制服のポケットで人気の女性歌手が大音量で歌っている。葉月はその様子を見て、苦笑いのような笑みを浮かべ、お呼びだよ、とポケットのあたりを指差す。朋香は何事もないように携帯を取り出して、笑顔で話しだした。

「は〜い・・・え?どうしたんですか?・・・葉月?今、一緒ですけど・・・はい・・・あ〜分かりました、はい・・・大丈夫ですよぉ、今日も行くつもりだったんで〜。」

どうやらクラブの知り合いらしい。クラブは朋香のほうが前から行っていたので、知り合いも多いのだ。


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