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双子月
【学園物 官能小説】

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双子月〜美月〜-3

「ねぇ、センセイ。私退学になるのなんかぜ〜んぜん怖くないの。退学にするならしてよ。だいたい、高校なんか通う気なかったんだしぃ。」

「俺はお前の餌食になる馬鹿な野郎の目を覚ましてやってるだけだ。お前のことまで救ってやれない。」

白衣は淡々と言う。白衣はすべてを知っているようだった。
すると葉月はみるみる血相をかえる。

「なによ!分かったようなこと言わないで。誰も助けてなんて思ってない!」

叫ぶように言い切ると、アンタなんか死んじゃえと吐き捨てて屋上を後にする。
白衣は追う様子もなく、フェンス際まで歩いて行った。

葉月が去ってしばらくしてから、美月は屋上に出てみた。
白衣の手元から細く煙があがっている。

「・・・東条先生。」

美月がおずおずと声をかけると、白衣もとい東条は振り返る。

(タバコ吸ってる。)

東条はこの学校の保険医だ。産休中の先生の変わりに赴任してきた。医師の資格を持っていて、ゆくゆくは親の病院を継ぐらしい、と校内の噂で広まっている。

「立花美月。まだいたのか?」

深く吸い込み、煙を吐き出す。その仕草は気怠そうにも見える。一瞬、美月はその様子に見入ってしまうが、すぐに本題を思い出し、東条に詰め寄る。

タバコのにおいがする。

「先生。葉月のこと、見逃してください!」

今、ここで目撃したことが学校にバレたら葉月は処分を受けるにちがいない。まして、さっきの様子では、葉月は今回が初めてではないようだ。それを東条は知っている。退学なんかになったら、葉月がますますダメになってしまう。

「学校には言うな、と?」

「お願いします!私なんでもしますから!」

美月は今にも泣き出しそうな顔で懇願した。
私が美月を守らなくちゃ。
その一心で頭を下げる。

「なんであいつの為にそこまでする?」

ふと、東条が問う。美月は顔を上げ、東条を見上げる。

目が合う。

「葉月と私は双子なんです。でも小さい時に両親が離婚して・・・葉月はお父さんに引き取られたんですけど、何かあったみたいで。葉月は私の大事な片割れなんです!唯一の姉妹の私が助けてあげなくちゃ、葉月がどんどんダメになっちゃう!」

話を聞きながらすべてを理解した東条は、携帯灰皿にタバコを揉み消し、今度は美月を品定めするようにじっくりと見た。
不敵な笑みを浮かべ、美月のあごに触れると、無理矢理自分のほうをむかせる。びっくりした美月が振り払おうともがいたが、びくりともしない。

「なんでもするっていったな。その言葉、忘れるなよ。」

東条が体をかがませ、鼻が触れそうなほど顔を近付ける。美月は東条の言葉に抵抗を止め、しかし、できるだけ目をそらす。


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