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私の涙、いくらですか?
【純愛 恋愛小説】

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私の涙、いくらですか?2-3

「これが、ホワイトハウスなのね…」


私ははっとして気を取り戻した。


余りの非現実的な状況に頭がおかしくなっている。ホワイトハウスって、そんなわけないでしょう!!


軽く咳払いする。


プールなんて、水と土地の大いなる無駄遣い。

どうしても泳ぎたいというのならば、子供用のビニールプールか市営のプールで十分じゃないの。馬鹿馬鹿しい。


私は無理矢理自分を取り戻し、背筋を伸ばして門の前まで向かう。
そこには箱のようなブースがあり、守衛らしき人が待ち構えていた。


「アルバイトの面接に来たんですが…。」
「あぁ、はい聞いてますよ。お名前は?」


「田村…亜矢子です。」


電話予約の時点で偽名を使ってしまい、持参した履歴書にも書いてしまったので、いまさら本名を言うわけにはいかない。


嘘を突き通そうと心に決める。


私はその日から、田村亜矢子という別の顔を持つことになってしまった。


その後、豪華な本邸とは少し離れた所にある、従業員用の建物のような場所に通された。


もしかしたら、寮みたいなものなのかもしれない。


出迎えてくれたのは、ひっつめ髪をして厳しそうな顔をしているおばさん。
これがここのお局か…。


事務所に通され、椅子に座り向かい合う。

私はファイルから履歴書を取り出し、その女性に渡す。


「これから面接を行う山崎です。よろしくお願いします。」

「田村亜矢子です。」


深々と礼をしながら、私は気が気でないといった心境だ。

ひえー…緊張する。嘘はつくものじゃないわね。

山崎と名乗る女は履歴書を穴が開くほど見つめている。


「あら、大学生なの。もっと若く見えるけど。」
「えぇ、まだ一年生ですから。」


さすが、女の観察眼は鋭い。ばれやしないかとハラハラだ。


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