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私の涙、いくらですか?
【純愛 恋愛小説】

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私の涙、いくらですか?3-7

だけど、その場を小走りで去る私の心に、


強く、強く


刻みこまれる。


なぜこんなにも胸が騒ぎ、落ち着かないのか、私にはその理由が分からなかった。






「遅いわね、田村亜矢子…。ったく使えない。」

そう呟きながら何気なく、窓から外を見る。
部屋から見える庭に、二人の姿があった。

「慎司と…あの女…?」

花壇の傍で秘書の竹村慎司と、清掃員の田村亜矢子が話している。

一瞬。

慎司の表情が揺れた。

何を話しているのか分からない。
何を言っても軽くあしらうだけのあの男。それなのに、あんな表情は初めてだ。

ずっと前から慎司を見てきた私がその変化を見逃すはずもない。


「なんなのよ…。あの女…!」


怒りがこみ上げてくる。


それは自分に対してか、
慎司に対してか、
あの女に対してか…


だけどその感情が分からぬままに、


強く拳をにぎりしめた。


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