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年の差
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年の差-5-1

「と、言われたんだ」
怒りとも悲しみとも取れる表情をした陸が、そこにはいた。
今まで、過去の彼女の話しは聞いたことがあるが、どれも社会人になってからの人ばかりだった。

「どうしたらいいか分からなかった…」
隣に座っている陸は、今まで見たこともないくらい悲しそうだった。


私は正面に座り、陸に諭すように話す。
「大丈夫だよ?陸…私がいるよ…」
私は彼を抱きしめた。
いつもは頼りがいのある体。
そんな体が、今は小さく見える。



そうだよね。
辛かったよね?そんなに好きだったんだもん。
先生に言われたからって、別れられないよね?
でもね、陸。
先生は決して陸を裏切るつもりはなかったんだよ?
その話を聞いて欲しい…。
先生を赦してあげてほしい。




そして…





貴方が本当に必要な人を決めてほしい。





「なんだ?ここは?」
あの話を聞いて一週間後、私は陸を連れてやって来た。
「うん。会って欲しい人がいるの」
「会って欲しい人?」
陸が不思議そうに尋ねる。
あの日は、一緒に寝て、目が覚めた時は何事もなかったかのように、喋っていた。
すっきりしたのだろうか?
分からないが、ある決心をし、ここを訪れることに決めた。



コンコン。
大きいスライドドアをノックする。
手摺りは掴みやすいように、太くなっている。
「はい」
中から、男性の声がする。
「お邪魔します」
ドアを開き、中に入る。
陸は続いて入ろうとしたが、ドアのところで立ちすくんでいた。


ドアの向こうには、真っ白な壁に、ベッド。
ベッドサイドにはテレビと小さな冷蔵庫。
二人ぐらい座れると思われる、ソファーがあった。
そのソファーと別に、ベッドサイには、肘置きが付いている一人用の椅子がある。
そこには、さっきの声の主−前川先生が座っていた。

「よう。」
「こんにちは。」
先生に向かって、会釈する。
そして、ベッドに寝ている女性に体を向ける。
袖から伸びた腕は細く、頬もこけている。
反対の腕には、点滴の針が刺さっていた。
そんな彼女が、私を見る目は優しい。
「初めまして。悠さん。」


ベッドにいる女性は、陸の元カノの中島悠さんだった。


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