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年の差
【その他 恋愛小説】

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年の差-0-1

こんな感情、初めてだ。

一目見て、こんな風に…世間で言う「一目惚れ」をしたのは…





「え?マフラーとかごっついの付けたりしちゃってた訳?うわぁ…」

はい、出ました。今日一回目のダメ出し。
俺、ずっとこんな風に言われるのかなぁ…

「で、それでドライブ?…まぁ昔だからいいんじゃない?今は、騒音とかでうるさいしね…」

…はい。ごもっともでございます。

「えー!下駄箱に、ラブレター!?マンガみたい!」
お腹抱えてまで笑わなくても…もういいですよ。

俺、真下陸(ましたりく)。29才。三十路までリーチかかってます。そして、さっきから笑っているのは、彼女である、北野菜海(きたのなみ)。19才。
そう、俺らは10才の差がある。今はあまり珍しくないかもしれないが、友達に話した時にはさすがに驚かれた。
と、言っても歳ほど見た目は老けていない。もしかしたら、24才に見える(菜海は27が限界と言っている)と、自分では思う。肌も、女性並に気を使っているし、生れつき体は細身。身長は170?弱しかないのが残念だ。筋肉質ではないが、贅肉もなく、世間からはスマートに見える…はず。
顔といえば、いつも人からは「いつも怒ってそう」と言われるが、いつも怒っている人間なんかいるか!ってのが、俺の言い分だが…。

「…で?そんな顔してるのに、その性格でモテるってわけ?」
「別に…そうは思ってないけど…」
「じゃ、今まで、何人の人に言い寄られた?」
「えっと…2、3、4…10人はいたかなぁ…」
「普通、そんなにも言い寄られるかなぁ?」
彼女が半ば、呆れながら言う。
そう。見掛けが怖い割には、何故か女性には声をかけられる…俺は男女隔たりなく話すから、それが受けたのだろう。
そもそも、彼女以外の人間に、あんな呆れ口調で言われたら、
「うるさいんじゃ!ボケっ!」
って、叫んでいるところだった。
しかし、彼女に対しては、そんなことない。
素直に意見を述べる彼女は好きだ。
そして…

「でも、今は私が陸のこと、1番好きだもん」
急に、女の子らしくなり、こうやって言ってくれる所も、彼女の魅力の一つだ。

そう。本当に。彼女のおかげで、俺はどれだけ幸せに感じることが出来たか…





あの夏の日。学生は「夏休み」と呼ばれる期間になってすぐぐらいの日、彼女に会った。
「もう一生一人かも…」なんて、思いながら、過ごしていた時だった。

この日も、打ち合わせの為、午前中は外にいて、昼から出勤した時のことだ。

いつもは空白の俺の左隣の席に、見慣れない女性が座っていた。
つい最近まで、そこには別の人が座っていたが、その人は、寿退社をした。


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