投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

クリスマスに願うこと
【幼馴染 官能小説】

クリスマスに願うことの最初へ クリスマスに願うこと 1 クリスマスに願うこと 3 クリスマスに願うことの最後へ

クリスマスに願うこと-2

「よっちゃん、買って来たよぉっ!!」
雪下ろしが一段落し、屋根の上で一服していた俺は、小型犬の様にキャンキャン吠える英津子を見下ろした。
真っ黒いダッフルコートに真っ赤なマフラーをぐるぐる巻いて、これまた真っ赤な手袋だ。とても22を越した社会人だとは考えられない。
「よっちゃん、早く下りておいでよ!アイス溶けちゃうって」
……オイ、雪だって溶けて無いのにアイスが溶けるか!?ってか、マジでクソさみーのにアイスかよ??!
俺はタバコをギュッと揉み消して、シンプルなシルバーの丸い携帯用灰皿に終った。
身体がパキパキする。よいこらせ、っと腰を上げて梯子を降り、俺は半分凍結した様な足に苦労しながら片付けを始めた。



部屋ではダルマストーブが元気に明かりを灯していて、上に乗せたヤカンからはシュウシュウと湯気が吹き出ていた。
指先がかあぁぁっと熱くなり、ジンジンと痺れる。急な温度差で身体が狂ってしまいそうだ。
「よっちゃんお疲れ〜」
にこにこしながら英津子はちゃっかり俺の部屋でストーブを焚き、コートやマフラーをハンガーに掛けてベッドに座って漫画を読んでいた。
「相変わらず汚い部屋ねぇ。掃除しないと黒い皇帝が出るわよ」
俺は撥水加工のダウンジャケットを床に落ちていたタオルで拭き、ハンガーに引っ掛けた。急な温度差で氷の粒が水になり、ジーパンは敢え無くびしょ濡れに変わってしまった。
「脱ぐの?!脱ぐのねっ!!きゃー!!よっちゃんのえっちぃ」
キャンキャン騒いでいる英津子を放って置いて、俺はベルトのバックルを外し、そう言えば汗で湿って気持ちが悪かったトレーナーを思いだし、Tシャツとまとめてズポッと脱いだ。
「きゃー!!よっちゃんエロいーッ! 裸にジーパンなんて何処のAV男優よっ!!!」
きゃあきゃあと非難なんだか興奮なんだが解らないリアクションだ。俺は構いもせず、椅子に引っ掛けておいたパーカーを頭から被った。

「ちょっと待って!!!」

何事か、と首に引っ掛けたままの姿勢で制止する。

…ボスッ

「んな!?」

驚く俺を余所に、英津子はベッドから飛び降りて、いきなり俺の腹を目掛けて拳をぶつけてきたのだ。
「固い……なんで?よっちゃん、なんで筋肉つけちゃったのよおぉぉ」
「そんな、なんでって言われてもな」
「ばかぁぁぁあ」
お前だ。馬鹿はお前だ。
俺は腹を憎々しく見つめる英津子を引っ剥がし、パーカーに袖を通して、これまた椅子に引っ掛けておいたカーゴパンツを小脇に抱えた。
「何よぉ、何処行くのよ」
ぶぅたれる英津子を余所に、俺は脱いだ衣類や置きっ放しの服を抱えて部屋を出る。
「脱衣所。黒い皇帝が出るんだろ」
黒い皇帝とは俺達が言うゴキブリの敬称である。
服が散乱していただけなので、まあ割りと見れなくは無い部屋になった。
「あたしの前で着替えるのが嫌なんでしょ」
「当たり前だろ。それとも見るか?俺の自慢の逸物…っぶ」
途中で枕と顔面衝突。22にもなって冗談も通じないのか、このアマは。
ばーかばーか、と後ろ背に聞こえるが、軽く無視して俺は下に向かった。


クリスマスに願うことの最初へ クリスマスに願うこと 1 クリスマスに願うこと 3 クリスマスに願うことの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前