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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの絆<後編>-9

『そんなの、片意地張ってるだけじゃない』
いつかの水沢の言葉が、聞こえた様な気がする。
(悔しいけど…水沢は正しいみたいだ……)
言われた通り、俺は片意地を張っていただけなのだろう。
光輝に敵う訳がないと知りつつも、想いが伝わらない事にただただ苛立ち…躍起になっていた。
今やっと…今になってやっと、その事に気が付いた。

それに、伝わらなかったのは、たぶん宮木さんが鈍感だからって理由だけじゃない。
俺は一度だって、大切な言葉を言おうとしなかった。『好き』の一言を、伝えようともしなかった。

「お願いだから、気付いてよっ!俺が宮木さんに優しくするその意味を、お願いだから考えてっ!」
これじゃあ、伝わる訳がない。他力本願もいいとこだ。
自分の力で言葉にしなきゃ、駄目なものだってちゃんと有る。

「俺は…」
喉がヒリヒリと…焼ける様に痛い。心とは裏腹の言葉を吐き続けて、もう喉が悲鳴を上げている。
でも、これが最後。
この想いを伝えられれば、きっと…諦められるから……


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