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年の差
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年の差-3-3

「なんだ、俺が来ることを予想していたのかと思った」
どきっ。
やっぱり、あの事、まだ覚えていたんだ…
「自惚れるのも大概にして下さい。飲んだら帰って下さいよ」
先生がコンビニで買ってきたチューハイの一本を、開ける。
「え?泊めてくれんじゃないの?」
「…冗談ですよね?」
「だって今から、飲んでたら、電車なくなるじゃん」
時計は11時を示していた。
「…ソファで寝て下さいよ」
本当、この人は…私のことを何だと思ってんだろ?
残っていたチューハイを一気に流し込む。
さっきの居酒屋では、それほど酔わなかったためか、今頃酔ってきた。
「こんないいベッドがあるのに、お前は一人で独占するのかよ」
「お前って言わないで下さい。当たり前じゃないですか。そもそも、一人で寝る為に、部屋を取ったんですから」
は〜何でこうなったんだろ…
これじゃ、一人を満喫出来ない。
「ふ〜ん…でも、そんなことさせないから」
さっきとは違う、真剣な口調。
すると、私が座っているソファの元へやってきた。
思わず、立ち上がる。
ベッドの脇まで行く。
それを追い掛けるように、先生も来る。
「きゃっ」
気付いたら、後ろにあるベッドに倒れ込む。
見上げると、先生ではなく『前川篤』がいた。
「何するんですか?」
精一杯の強気な口調。
なんか、怖い。
でも…

このままでもいい。



「何がって?今から寝るの」
と、私の横をするりと通り抜けてベッドの上に転がった。
「何?襲われるとでも思った?」
「…っ!んなこと、思ってません!お風呂に入って来ます!」
と、叫んでお風呂に駆け込んだ。


「先生…って、寝てるし」
思わず、独り言。
ご丁寧に、スーツは脱いで、部屋にある備え付けのパジャマに着替えていた。
だが、スーツは床に落ちて、結局しわになりそうだ。
何で私がこんなことを…
なんて思いながらも、スラックスをハンガーにかけて、ワイシャツもハンガーにかける。
靴下はソファに置いておくことにした。
そして…気が引けたが、先生を起こすことにした。
「先生、起きて下さい。私、もう寝ますよ」
反応ナシ。…あぁ、あの時もそうだったなぁ。
「先生って」
「ナミ…」
…え?
今、『ナミ』って言ったよね…?
ううん、まさかそんなはずはない。
聞き間違えだよね。
仰向けに寝ている先生の肩を、揺さぶってみる。
「先生ってば…」
「きた…の?何でここに?」
やっと起きた。
「寝ぼけてんすか?早くシャワー浴びるなりして、このベッドを出て下さい」
「え〜」
「『え〜』じゃないです。早く!」
ベットから追い出し、見事、奪還が成功した。
パタン。と、扉が閉まる音が背中の方でしたので、ベットに入ることにした。
そこには、『前川篤』の匂いが残っていた。


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