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年の差
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年の差-3-2

「頂きまぁす」
先生が食べる。
こんな風に食べてくれると、なんかこっちも嬉しい。
同じ学生のようで、楽しいのだ。
このメンバーで飲み会は去年の卒業式以来だ。
あの時も楽しかった。
普段も飲むのだが、陸はお酒を飲まないので、私も極力飲まないでいる。
だけど、こうやって集まると、やっぱり飲んでしまう。
みんなの顔を改めて見る。
三沢さんは、絵に描いたようないい人だ。たれ目で、フレームレスの横長い眼鏡。
髪は、短めで、ワックスで立てていた。今年、日本に二つしかない大学院に進学するらしい。
高井は相変わらず、眉は綺麗に整えられていて、肌もあの頃に比べたら、綺麗に見える。しかし、色白のためか、赤くなっているのがよく分かる。
先生は、少し黒目の肌にくりっとした目。髪もちゃんと整えられていて、世間で言ったら『カッコイイ』分類に入ると思う。


飲み会も佳境に入った頃、高井が、
「あぁ!もうこんな時間だぁ〜」
明らかに酔っているような口調。
立てるのか?
「じゃ、帰りますか」
三沢さんしっかりした口調で、切り出す。
「そうだなぁ〜学生は帰れ!」
先生も酔っている。
「じゃ、帰りますかぁ」
私が立ち上がると、次々に立ち上がる。




「じゃあなぁ〜」
先生が、三沢さんと高井に向かって言う。
「先生、ごちそうさまでした」
「ごちしょう…さまでした」
三沢さんはしっかりした口調で、高井は相当酔った状態で駅に向かって行った。
私はこんなに早く飲み会が終わると思っていなかったので、近くにホテルを予約していた。
最悪、終電を逃してもいいように。
「北野は?どっちだったっけ?」
「あ、私ホテルで予約取ってるんで、泊まって帰ります。」
手に持ったショップの紙袋を先生に見せる。
一回、してみたかったんだ。
一人でホテルに泊まって、少し高めの朝食を食べる。
ん〜贅沢!!
「そうか。じゃ行くか」
「はい。では…」
「違うよ。飲み直すんだよ」
「…どこで?」
「北野が泊まる部屋で」
ニヤっと笑った顔には、何を意味してるのか、分からなかった。



「お!結構いい部屋じゃん」
なんて、偉そうに言って、ベットにダイブする。
「あぁ!止めて下さいよ!私がするのを楽しみにしていたのに!」
「でも、よくダブルの部屋取ってたな〜」
「シングルのあの狭苦しいのが、どうも苦手で」
荷物をクローゼットに置く。
今日取った部屋は、居酒屋から5分ぐらいのとこに出来てまだ半年程しか経っていないホテル。
右開きの扉をくぐると、入って右側直ぐにクローゼット。
その奥には、机と椅子が見える。
更に入って見ると、大きなダブルベッドが。
見た感じ、布団はとても柔らかそうであり、シーツは糊が効いていて、清潔な感じだ。
お風呂を見てみると、ビジネスホテルとは違い、バスタブが広く、アメニティも充実している。
もちろん、トイレはセパレートだ。
一人用のソファが二つあり、その前にはガラスのテーブル。
その上にはホテルからのメッセージカードと、クッキーなどがあった。

そのテーブルに、買ってきたお酒を乗せる。
袋の中から、ビールを選んで飲む姿は、あの日と変わらなかった。


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