ヴァンパイアプリンス5-2
「…その食べ方、エロい。笑」
「ぇ…//?!エロくないし!!」
月下は宏樹の言葉の意味がわかり、頬を赤く染める。
「最近ご無沙汰だからさぁ〜」
「…バカ」
「今日ウチくる?」
「…うん。」
冷笑を浮かべる宏樹。明らかにからかわれてる!!と、月下は思った。
「…憎らしいけど好き。」
「ははッ。有難う。ね、キスしていい?」
「イイよ」
すっと眼鏡が外される。
「あ…」
「えッΣ」
月下は瞑りかけた目をぱっちり開く。
「眼鏡…そう!!眼鏡の事、教えて!!」
「…ι月下、タイミング悪いよι」
お互いの顔が目と鼻の先にあるのに、キスを止められた宏樹は、少し機嫌が悪くなった。
「あ//ゴメンι」
おもいのほか、顔が近くてビックリした月下は、顔を背ける。
「月下…」
―ちゅッ
「ん…」
くっと頬を正面に戻されたかと思うと、甘いキスが降りてきた。
「宏ッ…」
一度唇が離れたが、軽く息を吸った後、また再び唇を激しく塞がれた。
「…!!//」
器用な舌が月下の口内を犯していく。
「…ッ」
絡み合う二人の唾液。深く深く…月下は宏樹と1つになってしまうのではないかと思った。
「…はぁッはぁッ…」
唇が離れると、月下は苦しそうに息をした。
「もッ…苦しッ…」
「ははッ」
宏樹の勝ち誇った顔。月下は肩で息をしながら、宏樹の胸に倒れこんだ。
「…久しぶりのキス…激しいよ…」
「そ-ぉ?」
ふぅ〜と、月下は息を整えた。
「…で、何なの?眼鏡。」
「眼鏡…ね。」
宏樹は持っていた眼鏡を月下に渡す。
「それ、かけてみて?」
「え…うん。」
月下は眼鏡をかけた。
「あ…れ??これ…度入ってない!!」
「うん。だて眼鏡だもん。それ。」
そう。宏樹の眼鏡は、だて眼鏡だ。
「じゃあ…目、悪くないの??」
「うん。全然。」
「でも、何で…」
「うん…。」
宏樹は薄く微笑んだ。その笑は、何だか痛々しくて月下は宏樹の手を強く握った。
「月下…?」
「話して…?」
「うん…。これはね、俺が小学校の低学年の時に遡るんだけど…」
―…
『宏樹くん、宏樹く-ん!!』
いつも一緒に遊んでくれる女の子。この子は…そうだ。千恵ちゃんだ。
千恵は、女の子なのに人形遊びよりも外で活発に遊ぶ方がすきだった。いつもスカ-トを汚しながら、外を走り回ってた。
『今日は何しようか?』
『ん-…千恵ちゃんは何やりたい?』
『かくれんぼ!!』
『え-。二人で?』
『うん!!』
千恵は二人でかくれんぼをやると、無謀な事を言うような女の子だった。