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ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

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ヴァンパイアプリンス5-1

「ね-。今更だけどさぁ、宏樹って目悪いの?」
頬杖をついて宏樹を見つめる月下は、ぼそっとそう呟いた。
「え?」
いきなりの質問に、宏樹は読んでいた本から顔をあげ、首を傾げる。
初夏の兆しが見られはじめ、月下達の学校にも衣替えの季節がきた。おろしたての夏服に身を包む二人は、今図書館で勉強中。
図書館の白いカーテンがひらりひらりと風に舞い、外には眩しいくらいの青空が広がっていた。
勉強を放棄した月下は、机上に置いてある宏樹の眼鏡を手にとった。
「だってさ-、学校では眼鏡付けてるのにさぁ。あたしの前で付けてるところ、あんまり見ないから。あたしの事、見えてる?」
ずぃ-ッと、月下は宏樹に近づく。
「ん--?」
宏樹は目を細めながら月下の顔に近づく。
「え…見えないの?」月下は心配そうに、宏樹の顔を覗きこんだ。―ちゅッ
「…?!」
「ごちそ-さま♪」
にッと宏樹は笑う。
「な!?//見えてるの?!」
宏樹はニコニコ微笑んでいた。
「ん-…じゃあ、話しながら帰ろうか。月下、もう飽きたでしょ?」
「え//うん…」
宏樹は月下から眼鏡を取り、カチャッとかけた。
「よし。行こう。」
宏樹は月下の手を取り、図書館から出た。
「暑-…」
痛い程の日射しが肌をさす。夏のじめじめ感はないが、十分暑い。「そ-だね。」
「でも、宏樹はいつも涼しそう。」
月下はずるいッと、頬を膨らませる。
「いや…ι俺も暑いって。」
宏樹は苦笑する。
「そんなに暑いなら、手離そうか?」
「…?!…それは嫌。」
月下は繋ぐ手を、ぎゅっと握り返した。
クスクスと宏樹は笑う。
「何ぃ-?」
「え-?月下、可愛いなって思って。」
「…宏樹、今日も意地悪だね。」
「今日もッて…ι」
少しからかいすぎたかと、宏樹は思った。
「あ、そうだ。アイス食べていく?」
「アイス!?…宏樹が〜食べたいならイイよぉ。」
明らかに嬉しそうな月下。足取りが軽やかだ。
「…単純だなぁ。」
宏樹はそんな月下を微笑ましく見るのだった。
―…
「ん-♪冷たくてお-いし-ぃ♪」
月下は水を得た魚のように、すぐに元気になった。顔いっぱいで喜び、冷たいアイスを頬張る。
月下はアイスを買った後も、宏樹の手を離さなかった。それを月下は意識していない。宏樹は何だか嬉しかった。
「ありがと-ね、宏樹!!生き返った-♪」
「いいえ。よかったね。」
「あ、宏樹のもおいしそうだね-♪」
「半分食べる?」
「え-♪いいの?」
「ど-ぞ。」
「わ-い♪」
月下は宏樹のアイスを一口貰った。
「お-いし---♪」
月下は今にもとろけそうな顔で、空に叫んだ。
「月下、急いで食べないと溶けるよ?」
「え…あ!!」
宏樹は食べ終えたようで、アイスの棒を近くのコンビニのゴミ箱に捨てた。
「宏樹、食べるのはやいぃ〜」
「月下が遅いの。」
溶けたアイスを舌ですくいながら、月下は急いでアイスを食べる。


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