ゆきのした。-6
「ただいま」
「ただいまー!」
もちろん元気の良い方が姉ちゃん。
「おかえり」が返ってこないとわかりつつも、帰宅した時点での
「ただいま」は習慣になっている。
時計を見てみた。 夕日が過ぎたばかり…まだ六時だ。
「この後はどうしようか?」
「…なんか…あたしは疲れちゃったなあ」
眠たい…と呟き、欠伸をしている姉ちゃん。
瞼が開ききってないところを見ると、たしかに眠そうだ。
「そうだね……僕も眠いや」
僕も釣られて大欠伸してしまった。
話し合うこともなく意見が合致し、リビングで寝ることになった。
「…で…なんで僕に抱きついて寝ようとするかな。 すごく寝辛いんだけど」
「寒いもん」
「布団か何か持ってくればいいのに」
「…めんどっちいッス」
状況から言うとこうだ
僕がソファーで横になっていて、そのギリギリ落ちる寸前の場所で
姉ちゃんが僕に抱きついて寝ている……という状態。
これ熱くないかな…。 少なくとも僕は、いろんな意味で熱い。
しかも、ずっとこのままだと永久に眠れそうにない。 僕の心がそう言ってる。
「あー…わかった、布団持ってくるから、離して下さい」
「や」
「……………いや、" や "じゃなくて」
「あたしはもう眠いので寝ます、雪降る夜は寒いので絶対に離れちゃダメです。 ぐーすかぐーすかすぴーすぴー」
…保険の先生はこう言っていた気がする
《男の子より、女の子の方が身体的にも精神的にも大人なのです》と。
だが実際はどうだろう。 この姿を見ても大人だと言えようか。
仮に姉ちゃんに大人な部分があったとしても、僕は激しく全力で否定する。
っていうか、そんなことはどうでも宜しい。
寝息が聴こえるのは気のせいですか。
この体勢で寝ると確実に姉ちゃんが落ちてしまう。 どうにかしないと。