投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

「とある日の保健室」
【学園物 恋愛小説】

「とある日の保健室」の最初へ 「とある日の保健室」 14 「とある日の保健室」 16 「とある日の保健室」の最後へ

「とある日の保健室その5」-1

やった……!
あの女・双葉薫から達也を取り戻せた時、単純に私・星野優花はそう思った。達也が私のところに来てくれたんだから。
そこで、私は切り出す事にした。
朝、決意したばかりの自己犠牲(私が達也の彼女にならなきゃいけない)。充分に決行出来る頃合だと思う。
愛の告白。
出来る。達也になら、出来る。
でもこれは決して私が達也に抱いている感情なんかじゃない。絶対、違う。
……違うってば!
「どうしたんだよ、優花」
「へ?ひゃ……!」
私の思考は、達也の一言+私の顔覗き込みというコンボにより、一気にストップ。すっ頓狂な声を出してしまう。
「なんかあるのか?」
「なんでもない!」
そう。なんでもない事だ。
達也に告白する、なんて事。
……そうだ。
「ね、昼ご飯、一緒に食べない?」
「ん?」
「達也の分も作ってあるからさ」
「いやに用意がいいな。また興奮剤とか入ってるんじゃないだろうな?」
「もうあんな事はしないよぉ!」
するに決まってる。いや、それはさておき、告白するなら、出来るだけ早いほうがいい。先延ばしにすればするほどグダグダになって、結局告白しない。よくあるパターンだ。
誰にも見られない場所がいいかな。
「例の校舎裏で食べよ」
「校舎裏……でか?」
「嫌?」
「分かったよ。昼休みにな」
「待ってるからね!来ないと怒るからね!」
「へいへい……」
そう言って、達也は教室に向かった。なんでも今日は、久しぶりに授業を受ける気になったらしい。



「恵理!興奮剤ある?」
「うん、あるよ」
「じゃあ、即効性のやつは?」
「え〜っと……あった!はい、これ」
「ありがと!」
「なに〜?また例の彼?」
「そんなとこ」
「ふ〜ん……。ま、学校では発情させるのはお勧めしないよ。誰かに見られたらマズいし」
「見られたらって……なにを?」
「えっ!それはその……ックスとか……」
「やらしいわね」
「あんたが言わせたんでしょ!」



さて、ここまで来れば賢明な読者はお気付きでしょう。私の思惑を、ね。
私はまた、達也を発情させる。今度こそ既成事実(達也が私を……って事)を作る。
そして、私は達也の彼女になる。
現在は昼休み中。達也が約束を守るなら、ここ・校舎裏に来るはず。まだ来ていないけど、必ず来るはず。
(……あれ?なんで、私……)
必ず来るって思うんだろう。
達也は約束を守る奴だって思ってるから?
ううん、きっと違う。
私は達也が来てくれる事を『信じている』。……なんでだろ?
(いや、それよりも……)
そう。今は目先の事が重要だ。


「とある日の保健室」の最初へ 「とある日の保健室」 14 「とある日の保健室」 16 「とある日の保健室」の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前