「one's youthful days」-3
あれから、どうやって部屋まで帰ってきたんだろう?正直よく覚えてない
“リュウ君、別れた後、ドコに行ったの?誰と会っているの?”何も考えたくないのにリュウ君の顔が、声が、頭も心もグルグルしていて、朝まで眠れなかった。
お陰で寝不足で授業どころじゃ無かった。
昼休み、リュウ君に会いたい様な、会いたくない様な…ドアの前を行ったり来たりしていると、教室の中から男女の笑い声が聞こえる
ドクンと心臓が跳ねるのが分かった
教室に入ると、仲良さそうにリュウ君と綺麗な女の人が話していた
「じゃあまたね!」「おー!ありがとな」
リュウ君は何事も無かったかの様に話しかけてきた
「来るの遅いから、先食っちゃったよ」「…今の人、誰?」アタシは震える声を必死で抑え尋ねる
「友達だよ!ちょっと用があってさ…」
用って何!?一体何を隠しているの…?
「それより…」
「昨日は、さっきの人と会ってたの?」「え?」
いつもと違う様子にリュウ君も気付き始めている
「アタシ、知ってるんだから!リュウ君が昨日雅樹先輩とラーメン食べに行ってない事!」
アタシはボロボロと泣きながら叫んだ。「…!!ちょ、待て!落ち着けって…」アタシ肩を掴む
「ぃや!触らないで!!」
思わず、手をはねのけてしまった。
リュウ君の困惑した顔を見て、アタシの中で何かが崩れていったーー
「…もぉ、疲れた」こんな事を言いたいんじゃないのに、口が止まらない
「リュウ君にとってアタシって何!?お昼買ってくるパシリ!?」
「…それ本気で言ってんの?」
悲しそうな目でアタシを見る。まるで、自分のが傷ついたみたいな顔してーー
「もぉ、リュウ君の側にいるのツライ…」
そう言うと、アタシは教室を出ていく
振り返ってみたが、リュウ君の姿は無い。最初から分かっていた事なのに…
でも、どこかで引き留めてくれるのを期待していたんだ…
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「未央!どうしたの?」
教室に戻ると、泣きはらした顔を見た友里が未央に駆け寄る。
「何でもない…」
力なく笑う
「…隆太先輩と何かあったの?」
優しく聞かれ、また涙が出てくる
「友里ぃ〜…」
午後の授業をサボり一部始終を話す
「何それ!ヒドイ!…友里が文句言ってきてあげる!」
「止めて!!」
「未央…?」
「そんな事言っても何も変わらない。リュウ君はきっとアタシの事なんか好きでも嫌いでもないんだよ」
「そんな…」
「アタシまだ一度もリュウ君に好きって言われた事もないんだ…」
本当はずっと前から気付いてたんだ。でも、口にするとこんなにも胸に突き刺さるーー
気が付くと、時計はLHRの時間を指している
「ごめんね、授業サボらせちゃって…」「そんなのイイって!」
「そろそろ、先輩迎えにくる時間じゃない?」
「今日は未央といる!」
友里は今にも泣き出しそうだった
その優しさが心に染みた
「ありがとう。でも、アタシは大丈夫だから!お願い、行って?二人が気まずくなっちゃったら嫌だもん」
「…ハァ、分かったよ。でも、無理しないでね?」
「…うん。ありがとう」
部活の始まる時間になると、アタシはリュウ君の教室に向かった。
ここには何回来ただろう?いつも来るのは放課後、誰もいない時だった。
【窓側列の前から3番目】
きっと目を瞑ってもリュウ君の席にたどり着くだろう
いつもこの席でグランドを見ていた。