投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

胸音
【純愛 恋愛小説】

胸音の最初へ 胸音 3 胸音 5 胸音の最後へ

胸音-4

彼に連れられ、中に入る。テレビで見た歌舞伎町のホストクラブほどはキラキラしてなかった。少し老舗な感じもする。それが逆に少し安心した。

ホスト達が一斉に立ち上がり出迎える。そこで初回料金の話を聞いた。まだ斉木くんの姿は見当たらない。誰指名する?と聞かれ、少し時間を置いて、ヒカルくんの写真を指差す。

席に案内され、10分位、他の男の子2人と話してた。二人ともノリがよくて、ほとんど愛想笑いをするだけの私相手でも、話題が尽きなかった。

キョロキョロと周りを見てると、一人の男の子が席に近付いてくる。斉木くんだ!!胸がドクドクなる。緊張しすぎて胃が痛い。

斉木くんと目があった。金髪に青い目に、スーツ。でも間違いなく斉木くんだ。
一瞬、驚いた顔をした。でも、すぐに平静な顔に戻って、私に挨拶をした。

席につくと、彼はさっきの二人の男の子を席から外させた。二人は、怪しいですよと私達をからかってた。

二人だけになって、先に口を開いたのはどっちだっただろう。

「びっくりしたよ!」

「それは私のセリフだよ。あの、偶然、ホストクラブに来たら、斉木くん?ヒカルくんの写真があって…!」

わざわざ会いに来たことは知られたくなかった。でも、明らかにホスト慣れしてそうな、周りのキャバ嬢っぽい女の子達とは見た目もノリも違ってた。

「相川が来たって、すぐ気付いた?」

名前を忘れられてたら悲しいから、敢えて会話に名前を入れた。

「いや、席に近付くまでわかんなかった。」

それから、少しの時間だけど色々な話をした。斉木くんは、東京の大学に落ちて、浪人中にスカウトされてホストになったらしい…。携帯の番号とアドレスを交換した。また来てねって彼は何度も言ってた。

夢のような時間だった。しばらくはドキドキがおさまらなかった。

地下鉄を抜け、携帯でセンター問い合せすると、メールが2通来てた。

安藤くんと…斉木くん…。

―バイトの飲み会どうだった?浮気すんなよ!―

―今日は会えて嬉しかった!家に無事着いたら、メールしてね―

きっと今夜も眠れない…。
斉木くんからのメールは毎日来た。彼の返事はいつも遅かったけど。内容は、おはよう、とか何してる?とか些細な事だけど、それだけで胸がいっぱいになった。

「もうすぐ誕生日だろ?」

「誰の?」

「誰の?って…自分の誕生日忘れんなよ!」

安藤くんが半笑いで言う。そういえば、来週は私の誕生日だ。


胸音の最初へ 胸音 3 胸音 5 胸音の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前