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胸音
【純愛 恋愛小説】

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胸音-1

消えたい。消えたい。頭の中が真っ白になった。彼も、私の事が好きかもしれない…なんて、どうして自惚れたんだろう。何で、付き合ってから行きたい場所なんて空想したりしたんだろう。

受け取ってもらえなかったチョコ。何回も練習したのに。渡せなかった手紙。
もう…嫌だ…。

立ち寄った公園のベンチに座り、泣き崩れる。

「こんなの…!!」

チョコをゴミ箱に捨てようとする。

「待って!!」

「えっ!?」

振り返ると、そこに立っていたのはクラスの男子だった。

「それ…俺にくれない?」

「えっ…でも、これ…斉木くんに…。」

思わず、振られた男子の名前を口にしてしまう。

「いいよ。俺、ずっと好きだったんだ。相川のこと。」

彼は唖然と立ち尽くす私の手からチョコを取った。

「ありがと!これ、勿体なくて食べれるかな?」

照れくさそうに笑って、走り去っていった。いつの間にか、涙は止まっていた。

安藤くん… 名字しか知らない男子だった。去年も、高2になった今年も同じクラス。でも、今までに一言二言会話をしただけの気がする。私は異性と話すのは苦手だし、彼もきっと同じなんだろう。

一睡もできないまま、朝が来た。色んなことを考えてた。入学式で、隣のクラスの斉木くんを見て、こんなに格好いい子がいるんだって感動したこと。朝礼が毎週の楽しみだったこと。彼が同じクラスの女の子と楽しそうに話してるのを見て、胸が痛かったこと。

今年になり、同じクラスになれて、すごく嬉しかった。彼は、私の名前、真由が妹と同じだって話してくれた。それから私に、「彼氏いるの?」って…。私が「いないよ。斉木くんはモテるからいるでしょ?」って、心臓バクバクになりながら聞いたら、「募集中!」って笑ってた。

それから一ヶ月…2年の恋は「ごめん。」の一言で終わっちゃった…。何で、ごめん、なのかも聞けず逃げたした。

毎朝、髪型をセットするのも、校則で禁止されてる化粧をするのも、好きなお菓子を我慢してダイエットしてるのも、全部ただ、彼に好かれたいためだけだったのに。

無理って分かっても…簡単に嫌いにはなれないよ…。

朝が来た。行きたくないけど、今日休んだら、斉木くん気にするよね…?

渋々、学校に行くと、状況を知ってる友達も、斉木くんも、安藤くんも、いつもと全く変わりなかった。そして私も。


それから、あっという間に学年が変わり、3年生では斉木くんとは隣のクラスで、安藤くんとはまた一緒のクラスだった。


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