「風雲鬼」〜第二話『ミコの想いと泉の向こう』〜-7
「みくっ……三雲?」
ミコは一瞬で三雲の異変に気付いた。
三雲は向こう岸を凝視したまま、顔をこわばらせ、しかも体を小刻みに震わせていた。
「三雲…?」
ミコの心配も、三雲の耳には届いていない。
すると三雲は、口を僅かに開いて、かすれた声で呟いた。
「…舞?」
……まい?
確かに三雲は、そう言った。
向こう岸の少女と三雲の顔を見比べてみても、ミコにはその言葉の意味が全く理解できない。
ザワザワ…、とミコは胸騒ぎに駆られていた。
第二話 終わり