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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第八章』-13

「たこ焼き?美味しそうだね。」
千里が梓に目でちょうだいと投げ掛けている。
「千里君可愛い。」
「む。」
梓はあまり形の崩れていないたこ焼きをつまようじで刺した。
「ほい。」
梓はたこ焼きを差し出した。千里は微笑む。
「あむ。あふっ。」
予想外に熱かった。
梓は笑う。
「やっぱり可愛い。」
千里はたこ焼きを飲み込む。
「可愛いはだめ!」
梓はまた笑う。
「…なんでOKしてくれたの?」
千里が言った。梓は少し考える。
「なんでかな?……楽しそうだから。それに、前から千里君に興味あったし?」
「興味?」
「うん。なんかね、千里君見てると、悲しくなったから。」
千里は微笑む。
「すごいね。柚木さんは。」
「えっ!?」
千里は首を振る。
「なんでもないよ。」
千里は口の端についていたソースを、親指の腹で拭った。
「行こっか?柚木さんどこいきたい?」
梓は千里の口にたこ焼きを突っ込んだ。
「むがっ!?」
「そろそろ私の事、梓って呼ぼうよ。」
千里は顔を赤くした。
「…ほら、なんか慣れないし。」
「いいから。」
千里は少しためらう。
「…梓。」
「よし。」
千里は顔を真っ赤にした。





時間になり、秋冬は体育館に向かった。
エンディングの準備と、後夜祭の事だ。
「後夜祭は九時半までやる。みんなは問題が起こらないように警戒してくれ。」
生徒会の面々がうなずく。
「よし。じゃぁエンディングするぞ。」
時刻は午後五時。生徒はまだはしゃいでいるようだ。
「エンディングは生徒会長がやるから。」
東が言った。
話も終わり、秋冬は放送係の北川に近付く。
「お疲れ様です。」
「大変なのはこれからよ。」
秋冬は苦笑する。
「ですね。…聞きたいんですけど。」
「なにかしら?」
秋冬は深呼吸した。
「先輩にとって愛ってなんですか?」
北川が秋冬を見る。北川は少し考えた。
「そうね。自分が相手の事を一番に考えていて、その思いが揺るがない物だったら、それが愛じゃない?」
北川は微笑む。
「ま、それが報われるとは限らないけどね。」
秋冬は気付いた。
北川も、報われない思いを抱えているんだ。
「ほら、エンディングよ。しっかりしなさいよ?」
秋冬は舞台袖からステージを見た。


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