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引力
【学園物 官能小説】

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引力3 〜篠原編〜-2

「とりあえず、いただきます。」
一つつまんで口に入れる。
真澄は上目遣いで心配そうに僕を見ていた。
「…おいしい?」
「おいしいですよ。すごく。」
それでもまだ不安気な顔をしている。
「ほんと?」
「本当ですよ。君も味見してみます?」
そう言って彼女の顎に手をかけ上を向かせると、そのまま唇を重ね彼女にもチョコを味合わせる。
「んっ…むぅ……」
始めはびっくりしていた彼女もたどたどしくはあるが舌をからめてくる。しばらくして唇を離した。
「…はぁ……」
「ね?おいしいでしょ?」
僕が言うと、
「ばか…」
真澄は顔を赤らめて俯いた。
可愛い…
その様子に気持ちが高ぶってくる。再び抱き締めキスをすると制服の下から指先を侵入させていく。
脇腹に指を滑らせると真澄は体を震わせた。
「や…だめ……こんなところで……」
「じゃ、どんなとこならいいんですか?」
僕がふざけると真澄はちょっと怒ったように言った。
「もうっ ばか!」
まぁ、確かにここでこれ以上は無理だろう。おとなしく諦めることにするか。
「はいはい。それじゃ帰りましょうか。」
真澄の手をとって部室を後にした。


帰り道、真澄の様子がなんだかおかしい。僕が何か話しても適当な相槌を打つだけであとはひたすら無言だった。
さっきのことで本当に怒ったとも思えないが…。
「真澄?」
顔を覗き込むと、彼女は思い詰めた様な顔をしていた。何かを言おうと口を開いては一旦やめ、また口を開く。
そして思い切ったように言い出した。
「さっ、さとるんちならいいよ。」
一瞬、何のことだかわからなかったが、すぐにさっきの部室でのやり取りを思い出す。
それでもわざと意地悪く聞き返した。
「ぼくんちなら何がいいんです?」
真澄は顔を真っ赤にしながら返答する。
「だからっ 聡がさっき、どこならいいって言うから…」
後半の声はほとんど聞き取れないくらいだった。少しいじめすぎたかなと思いながら、腕時計を見る。
6時半過ぎ。僕の家に寄ってイチャイチャして…ちょっと時間的に無理だろう。
「でももう遅いですし…非常に残念ですがまたにしましょう?」
僕が言うと彼女がさらに顔を赤くして言った。
「今日、親が旅行行ってていないの…。だから……」
願ってもいなかった申し出に心が躍る。そして以前からの僕の希望を告げた。
「それなら…君の家に行きたいな……」
真澄は一瞬驚いて、それから慌てて言った。
「だめだめ!絶対だめ」
「どうして?」
「部屋汚れてるし…そんないきなり言われたって…」
「そんなの気にしませんよ。前もって言ったところで、どうせ『親がいるからダメ』って言う気でしょう?」
「う……」
図星だったのか言葉に詰まる真澄。
「今日はバレンタインなんですから、お願い聞いてくださいよ。」
こんな良い機会を逃したらいつ彼女の部屋に入れるかわからない。
ちょっと強引だったかなと思いつつ、
「ちょっとぉ!! だめだってばぁぁぁ」
必死に抵抗する真澄の手を取り無理やり彼女の家へ向かった。


「いいって言うまでそこで待っててね!!」
観念したのか途中で大人しくなった真澄だが、玄関に入るなり僕にそう言うと、疾風のごとく二階へ駆け上がって行った。
程なくドタバタと部屋を片付けている音が聞こえだした。
僕は苦笑しながら靴を脱ぐと、階段の一番下の段に腰掛けて待った。
しばらくするとドアの開く音と真澄の声がした。
「いーよ。上がってきて。」
階段を上ると、真澄は突き当たりの部屋のドアから顔だけ出していた。ドアには『MASUMI』のウッドプレートが掛けてある。
「おじゃましまーす」
部屋に入る。部屋中に彼女の匂いが溢れている。カントリー調パッチワークのベッドカバー。白いチェストの上のぬいぐるみ。想像以上に可愛らしい部屋だった。
「なんか言ってよ…」
僕が感動していると真澄は照れたように言った。
「すいません。可愛い部屋ですね。ちっとも汚くないじゃないですか。」
「慌てて片付けたのっ。ほんといきなりなんだから…」
頬をぷっくり膨らませると、急に思い出したように言った。
「あ、ご飯どうする?何食べたい?って言っても出前とかだけど。」
「君を食べたい。」
真顔で言う。ベタな台詞とその後の彼女を想像すると笑いを堪えるのに必死だった。
案の定、真澄は顔を真っ赤にして目を逸らす。
「何ばか言ってんのよ。もう」
冗談のつもりだったのに彼女の仕草が可愛くて本気になる。抱き締めて耳元で囁いた。
「さっきの続きしましょう…?」
「やっ…部活の後だもん……二人とも汗臭いよ?」
彼女がするりと僕の腕から逃げる。
「お風呂の用意してくるから。待ってて。」
そう言うと部屋を出て行った。


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