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引力
【学園物 官能小説】

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引力-1

あたしは北崎真澄。高校2年生。弓道部所属。性格は気が強くて負けず嫌い。嫌いなヤツ―篠原聡(さとる)。最悪なことに同じクラス、同じ部活。好きな人―長谷川先輩…。同じく弓道部の部長。

放課後、あたしは図書室で勉強してた。来週から中間テストが始まるし、部活もテスト前は休みになるから。2時間程集中して苦手教科の数学を復習した。続きは家に帰ってからにしよう、と荷物をまとめ帰ろうとした時、あたしは見てしまった……。廊下の先をあたしの大好きな長谷川先輩が晶子先輩と手をつないで歩いてるところを……。

ショックだった。よく覚えてないけど気付いたら弓道部の部室にいた。ココは学校の離れにあるし部活が休みだから誰もいなくて丁度いい。椅子に座って机に突っ伏して声を殺して泣いてた。
『残って勉強なんかしなきゃよかった。長谷川先輩が…涼子先輩と…。あの二人…付き合ってたんだ…。知りたくなかったな…。』
普段、気が強くて泣いたことないあたしなのに涙がとまらなかった。大好きな長谷川先輩。物静かで、優しくて、部活の時はちょっと厳しくて。先輩に認められたくて部活も自主練も一生懸命やった。放課後、部活で先輩に会えるから嫌いな授業も頑張れたのに…。
相手は晶子先輩。同じく弓道部の副部長。かわいくて、おしとやかで、でも凛とした雰囲気の憧れの先輩だ。どう考えたってお似合いの二人。あたしなんか、かないっこない…。
こんなに泣いたのにまだ溢れる涙。一度決壊した涙のダムはなかなか止まってはくれなかった。

―ガラガラ―
部室のドアの開く音に顔を上げると、よりにもよって大っ嫌いな篠原聡が驚いた顔であたしを見ていた。
「これは驚いた。北崎さんも泣いたりするんですね。失恋でもしたんですか?それとも目にゴミでも入ったとか?」
口の片端を少しだけ上げて意地の悪い顔で言う。
あたしがこいつを嫌いな理由はコレ。あたしをバカにした態度。誰に対しても敬語で話すけど、あたしに対しては妙にトゲがある。教室でも部活でも他の子にはそんなこと言わないのに、いつもあたしにだけに嫌味を言う。長身で顔も整ってて頭も良くて男女問わず人気があって学級委員長をするほど人望があって人当たりのいいヤツが、なんであたしだけをこんなに目の敵にするのかわからない。
「うるさいなぁっ!ほっといてよ!」
急に感情のシフトが失恋の悲しみから篠原に対する怒りへとチェンジする。失恋だとズバリ当てられたことも腹立たしかった。
「やれやれ。忘れ物を取りにきたらキミが泣いているから心配してあげたのに、なんですかその言い草は。」
「ほっといてって言ってるでしょ!誰も心配してくれなんて頼んでないわよ!」
ヤバい…言い過ぎ。自分でそう思いながらも言葉は止まらない。
「だいたいなんなのよ、アンタ!部活でも教室でもいつもいつもあたしだけに突っ掛かってきて。そんなにあたしが嫌いなら構わなきゃいいでしょ!?なんでそんなに構うのよ!?」
我を忘れて泣き叫ぶように怒鳴った。
篠原はあたしの言葉に傷ついた様に哀しい顔をした。そしてゆっくりと笑顔になった。冷たい笑顔だった。

「どうしてだか教えてあげましょうか?」
言いながらゆっくりとあたしに近づいてくる。あたしはなんだか怖くなって椅子から立ち上がり後退った。
「君が…僕を見てくれないからですよ…。」
「…え?」
意味がわからない。
「…何言ってるの?」
あたしはすでに部屋の隅に追い詰められていた。
「鈍い人ですね…。」
篠原があたしの両腕を掴んで頭の上に押さえつけた。
「こういう意味ですよ。」

篠原の顔が近づいてきたかと思うと急にキスされた。
「………っっっ!?!?」
見開いたままのあたしの目に篠原の長い睫が映る。頭の中が真っ白になって動けなかった。
「…んっ!…んむっ…」
無理やり舌をねじ込まれる。あたしはビックリして顔を背けようとしたけど顔をしっかり押さえられてて動かせない。ニュルニュルと生き物の様に這い回る篠原の舌にあたしの口内はさんざん弄られた。初めてのキスがこんな無理やりだなんて…


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