『限りなく広がる不安と共に』-2
「ふふっ。どういたしまして。 で、それで?まぁ話を聞く限りでは暁はあんたにベタボレでしょ? なにを心配してるのよ」
「そぉだよぉ。マコチャンびっくりだったもんねぇ? 荒木からのまさかの逆告白。 あいつお堅いふりして結構やるよねぇ」
それは私もびっくりしました。 まさか荒木君が私を好いてくれてるなんて… でも。
『ん〜…そうなんだけどぉ…荒木君モテるんだもん!! だって昨日だってね? 田中君と荒木君が話してる時にいきなり女の子が話しかけてって、荒木君に抱きついたりしてたんだよ!?』
それをみた時、ものすごいショックでした。 まだ付き合って間もない私達ですけど、やっぱりそういうの気になります。
だって荒木君が私を好きになる理由がないもの…
「へぇ〜 あの荒木がねぇ。 田中とかの影に隠れがちだけどモテるんだねぇ」
「そうなんだよね。 暁ってリキとかスグルに比べると平凡だけど、それでもやっぱ男前に分類されるんだよね」
そうなんです。 いつも田中君と木下君を立てて、自分は後ろにいるから見落としがち何だけど、やっぱり荒木君はカッコイイです。 いや、ノロケとかそんなんじゃくて、実際カッコイイと思います。
「そういえばさぁ? なんで荒木な訳? 田中とか木下の方がカッコイイじゃん?」
「あ〜それ私も聞きたかったんだ。 なんでリキとかスグルじゃなくて、暁な訳? 確かに暁もいいけどさぁ…顔だけでいえばあの二人の方がよくない? 」
「それそれぇ。 めっちゃ気になるぅ」
私が荒木君を好きな理由?
そういえば考えた事なかったな。
『うーん、どうしてだろう? 好きだから…?じゃダメかな?』
うまく言葉が見つからないです。 素直に好きだから…としか言えないんです。
「そんなんだから不安になるのよ! 自分がなんで好きかもわからないのに相手の事を信用なんて出来ないでしょ」
うぅ… 確かに…。
「春チャンはぁ荒木のどこを好きになったんですかぁ?」
マコチャンがさらに問い詰めて来ます。
「例えばさ? リキなら顔が良くて元気じゃない? 子供っぽいかも知れないけど、そこがたまらないというかなんというか」
実はミーチャン。田中君の事が好きです。 それはもうかなり激しく。
「だよねぇ。それか木下だったらさぁ? 顔も良いし、なにより気さくで話しやすいんだよねぇ。 色んな事気がつくし」
マコチャンは木下君狙いです。 それはもう激しく攻めてます。
「そうだよ。なんで暁な訳? あの二人の中じゃ平凡さが光って見えない?」
「あ〜マコそれわかるかもぉ。 荒木って見るからに普通だよねぇ? 全体的に平均点よりちょっと上って感じ?」
「あぁわかるわかる。 春には悪いけど、リキに比べりゃ普通だよね」
「うん。 木下に比べても普通だよねぇ」
これは…彼女として怒るべきなんでしょうか…?
でも荒木君も認めてるしなぁ… 自分はあの二人に比べれば普通だよって。
「ねぇ、なんで暁なの? 言ってて益々不思議になって来ちゃった」
「春チャアはなんで荒木の事が好きなんですかぁ?」
二人とも眼がキラキラしてる… 説明しずらいなぁ
『荒木君の好きな所…? むぅ… 優しい所? かな?』
「えぇ〜 ありきたりだよぉ。 それなら木下も優しいよぉ?」
『えっと、それじゃあ…あっ、荒木君カッコイイ』
「顔で言えばリキの方がいいでしょ。 もっと決定的なものはないの? 暁にしかないものって」
『荒木君にしかないもの…? 』
「そうそう。 なんで春チャアは数多くいる男の中で、荒木を選んだんだい?」
『それは…その…』
「大事な事だよ?春? 彼氏の事を自慢できるくらい知っとかなきゃ」
『うぅ〜』
確かにそうですよね。 私が荒木君の事を知らないのに、心配になるなんて何かおかしいですよね。