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『限り無く青い春の下で』
【青春 恋愛小説】

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『限り無く小さな俺の中で 後編』-4

「まさか…まさかの逆告白とは…」
「で、まさかの逆逆告白。もう意味わかんねぇ。頭おかしいよあの二人」
「いや、それは言いすぎでしょう」
「んな事ねぇよ。だって今日初めて学校で口聞いただろ?あの二人。絶対頭おかしいって」
「まぁ…今となっちゃ負け惜しみだね…」
「…」
人生最良の日とは今日の事だ。 いつだって『幸せな事』は一気にやってくる。 今日初めて蒼衣サンと話しをして、なぜかいきなり恋人となった。 話がうまく行き過ぎなんだが夢ではない。 夢で終わらせる気なんてさらさらない、けど得も言われぬ浮遊感は心地良く又不安にもさせるものだった。
なったばかりの恋人に、俺は初めての質問をした。
「そのさぁ?いつからなの?…その…俺が…好きになったのは?」
真っ直ぐ眼を見て話せない。 夢が終わりそうな気がしたから。
「ずっと前だよ? 荒木君と初めて話したあの日よりも、ずっとずっと前から」
「そうだったの? じゃぁあの時も俺の事は知ってたんだ?」
「そう! 実は偶然なんかじゃなくて、ずっとタイミングをはかってたんだ♪ けど荒木君、全然気付いてくれなくて… 思わず声かけちゃった」
「そうだったんだ… ありがとう」
なぜか自然に言葉が溢れた。 なぜかはわからないけど無償にありがとうが言いたかった。
「えっ?いっ、いやぁ…」
テヘヘと言う感じに照れる蒼衣サン。
「じゃぁ荒木君は?その…いつから…なの?」
顔が真っ赤になっている。 俺だって恥ずかしい。
「その…俺は… あの日から…かな? 気付いたら好きになってた」
やっべ、顔めっちゃ熱い。
「エヘヘ、ありがとう」
あっ、今のめっちゃかわいかった。 ダメだ、うれしすぎて叫びてぇ!!
さらに『幸せな事』は続く。
「ホントはね?ずっと前に話した事あるんだよ? ずっとずっと前だけど。 一年生になったばっかりぐらいの時に」
「えっ?そうなの?」
「うん。その時も荒木君は田中君と木下君と一緒にいて、いつも控え目そうに二人の一歩後ろにいるの 」
俺の定位置だ。 俺はいつもスグルとリキの一歩後ろ。
「初めて話した時も、必ず田中君と木下君を前に立てて自分は後ろから支える役。そんな優しさがとっても出てて」
そんな事まで知ってたんだ。
俺は必ずリキとスグルを前に立てる。それは結構自然な役割で、俺は二人の影になるんだ。
「気がついたら気になってた。 なんでいつも控え目なんだろうって。
二人の隣りにいればそれなりに目立てるし、恋愛だってできるはずなのに。 でもいつも聞くのは田中君のお手伝いとか木下君の仲を持つとかそんな話しばかり。 いつもまにか好きになってた。 きっと優しい人なんだって、きっと友達想いな人なんだって。 球技大会の日も、文化祭の日も、体育祭の日も、いつも二人を支える荒木君が好きになってた」
ずっと見ててくれたんだ。
「それでね? あの桜の公園で荒木君を見て、あっ、公園に行ったのは偶然だよ? 別に後をつけた訳じゃないから♪
それで絵を書いてる姿を見つけた時には我慢できなくなってた。 気付いたら話しかけてた」
俺は相槌だけをうっておく。 なぜかすべて聞かなきゃならない気がしたから。
「話してみたら、やっぱり思った通りの人だった。 二人っきり話してる時でさえ木下君と田中君を立てる事を忘れない。 荒木君の優しい顔を見てたら幸せになれた。 私も誰かの為にがんばろうって想えた。 好きって感覚は確信に変わった」
ジッと眼を見て話してくれてる。 瞼の裏がジワリと熱くなる。


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