正夢〜幸福-8
「なんか手伝おうか?」
『いいよ、翔ちゃんはテレビでも見てて』
「本当に?」
『大丈夫だよぉ。翔ちゃん私の料理の腕知ってるでしょ?はい、あと少しだから』
恵に言われて、ソファに座りながらテレビを見る。世間では丁度昼時だ。
何気なくチャンネルを回していると、足音が近づいてくる。見ると、恵がトレイを両手で持ってこちらへやって来た。
『はい!』
「……おぉ!」
恵が置いたトレイの上には、美味そうなオムライスが二つ乗せてあった。
スプーンを手に取り、二人で声を合わせる。
「『いただきます!」』
恵の作ったオムライスは本当に美味かった。二人で話し合いながらオムライスを……ん……?
『翔ちゃん、どうしたの?』
軽い頭痛とめまいが俺を襲う。そして、全てを思い出した。
オムライス、二人での食事、恵の顔……。
「また、か」
『なにが?』
「いや、なんでもない。それより、午後からどこか行こうか?」
『うん!』
後片付けを二人でやりながら今日の予定を語り合う、幸せな一時。
もし神さまがいたら言わなくっちゃな。
「正夢にしてくれてありがとう」ってな。