シスコン『第六章』-1
「はぁ………明日から学校か………。」
秋冬が溜め息を吐きながら、テレビのチャンネルを意味なくカチカチと変える。
「なにしてんのよダラダラと。」
そこに姉である春夏がきた。秋冬はチラと春夏を見てテレビに視線を戻した。
「ダラダラできんのは、やるべき事をちゃんとやったからだ。姉貴は宿題やったのか?」
「あぁ。その事なんだけど………、」
秋冬は嫌な予感しか感じなかった。
「宿題手伝ってくれない?」
シスコン『第六章』
「やだね。」
秋冬が一蹴した。
「なっ………お姉ちゃんに向かってそんなのあり!?」
「オレら双子だろーがよ。」
「う………。」
春夏はうつむいた。
「……しゃぁねぇなぁ。あとどれくらい残ってる?」
春夏は少し考えた。
「………半分くらい…かな。」
「死ね。滅びろ。」
秋冬は携帯電話をポケットから出した。
「………?」
春夏がそれを不思議に思った。
「今日だけで半分は無理だろ?応援を呼ぶ。」
秋冬は携帯電話を耳に当てた。
「………。」
春夏は台所に向かい、コップにお茶を入れた。
「あ、もしもし?そう、オレ。今からウチにきてくれないかな?………あ、いや実はね?」
春夏がコップを秋冬の前に置いた。秋冬が軽く首をさげた。
「ほんとに?助かるよ。ありがとう。じゃ、また後で。」
秋冬は携帯電話を閉じた。春夏に微笑みかける。春夏はドキッとした。
「応援を一人呼んだ。これで間に合うかもな…?」
春夏は聞いた。
「誰を呼んだの?」
「ん?浜崎さん。」
「なにぃっ!!??」
「何か問題でも?学力だってオレと大差ねぇし、もう宿題も終わったらしい。」
春夏は黙る。
「さて、宿題持っておいで。見てやるからさ…?」
春夏はうなずいた。
「うん、ありがと。」
『ピンポーン』
「あ、きた。」
秋冬が立ち上がる。春夏はうなっている。
『ガチャッ』
「いらっしゃい。」
「おはようっ。」
秋冬は優魅を招き入れる。
「ごめんね?こんな朝から………夏休み最後なのに。」
秋冬が申し訳なさそうに言った。優魅は首と手を忙しそうに振った。
「いいのいいの。ちょうど暇だったし。」
秋冬はフッと笑って優魅を部屋に入れた。
「や、いらっしゃいませ。」
春夏が青い顔で優魅に笑いかけた。
「………今やってるのは宿題…だよね?」
優魅が秋冬に聞いた。
「ん?あぁ。それがどうかした?」
「いや……顔色悪いから…。」
秋冬は笑った。