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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第六章』-2

部屋にものを書く音がする。
「うぅ………秋冬ぉ…へるぷみー。」
「浜崎さんに聞いてくれ。オレは姉貴の宿題かわりにやってんだからさ。」
「にゅぅ………。」
春夏は優魅に近付いた。優魅はお茶を飲んでいた。
「ここの数式……。」
春夏が指差す。
「あぁここはね…。」
優魅が春夏に教える。
「あ。もうお茶無いね。入れてくるよ。オレも喉渇いたし。」
「あ、ありがとっ。」
秋冬が冷蔵庫に向かって少し、秋冬が部屋に戻ってきた。
「お茶が切れた。ちょっと買ってくるから…二人で頑張ってて。」
秋冬は出かけていった。春夏がペンを置く。
「………なんでまだ諦めてないの?秋冬の事…。」
優魅はチラッと春夏を見て言った。
「好きだから。他に好きな人がいるみたいだけど、諦めきれない。」
「他に…好きな人?」
春夏のその言葉に優魅がうなずく。
「私、一回秋冬君にフラれたの。その時に…他に好きな人がいるって、秋冬君そう言ったの。」
春夏は優魅をじっと見た。
「………嘘じゃないみたいね。」
優魅は笑う。
「秋冬の好きな人か……。誰だろ?梓?あんたじゃないし………他に女の子いた?」
優魅は知らないと首を振る。
「案外…身近にいたりして。」
優魅がつぶやいた。
「身近?」
「春夏ちゃんだったり……とか。」
「私ぃ?ありえないよ。だって姉弟じゃん。しかも双子だし。」
「関係無くない?好きだって気持ちは………歯止めきかなくなる時だってあるし。」
「秋冬はそんなに強くない。他人が嫌いな所があるの。」
「だから春夏ちゃんが好きなんじゃないの?」
春夏は言葉に詰まった。優魅は続ける。
「でもそれって可哀想よ。決して叶わない恋なんて、悲劇じゃないんだから。だから、春夏ちゃんから言うべきよ。『私は秋冬の事好きじゃない。だからもっと他の人を探すべきだ。』って。」
春夏はテーブルを強く殴った。
「さっきからなんなの!?そんな事したら秋冬が居場所無くしちゃうじゃない!!家族の私が秋冬をつき放したら、秋冬は一人ぼっちじゃない!!また誰も信じられなくなって、また学校行かなくなって、部屋からも出なくなって!!!」
春夏は息を切らしている。
「………そんなの、それこそ可哀想じゃない。秋冬には家族しか、私しかいないの。それは好きとかじゃなくて、孤独を紛らわすだけの事なのよ。」
優魅は春夏をキッと見た。春夏は怯む。
「じゃあ、私が秋冬君の居場所になりたい。」
春夏は呆気にとられた。力無く笑い、机をバンバン叩く。
「あはは…一度フラれたじゃない。きっと秋冬はずぅっと一人。あの子の事だから、誰とも一緒になれずに過ごすんだろうなぁ……。」
優魅は言う。
「……秋冬君の事、決め付けてませんか?秋冬君は…もう一人じゃないと思う。」
春夏はイライラしていた。


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