愛しい人。-7
上手くまるめこまれて、今や後ろから要に抱き抱えられてる状態です。
二人でお風呂に入るだなんて、やばい恥ずかしい。
どんな話…すればいいんだろうなんて考えていたら、要が口を開いた。
「…最近、元気ないねぇ。」
要は私のうなじを指でなぞる。
要の指が動く度に、お湯がちゃぷちゃぷ音を出した。
「え?」
「会社で。何かあった?」
「ないよ?」
「嘘。無理してる。」
要は…割と鋭い。
「…」
言うべきか言わないべきか迷っていると、更に要は続ける。
「言って?」
有無を言わさず。
まるで、副社長命令だと言わんばかりに。
「…う〜…」
「神田さんのこと?」
もう隠しようがない。観念して、私は頷いた。
「…うん。そう。」
「やっぱりそうだ。」
「だって…心配だもん。」
「な-に、可愛い事言っちゃって。」
私は要と向き合う。
「…この一週間、全然会えないし…寂しかった…」
触れたくて、話したくて、仕方なかった。
「千晴…」
「私…全然余裕なくて…」
「うん…」
「でも、要には迷惑かけたくなくて…」
「…」
「ごめんね…心配させて…」
「もういいよ…」
要は私の頬に触れて、そっとキスを落とした。
「俺…愛されてんだなぁ。」
要はしみじみと言った。
「要…」
「いくら若い子といてもさ、やっぱり俺は千晴がいい。」
「…」
「若いとかそんなんじゃなくてさ、俺は千晴がいいんだ。」
「…うん」
「だから、そんな顔すんなよ…」
要はちょっとだけ情けない顔で、そう言った。
「うん…」
いつもはカッコいい要にこんな顔をさせているのは、私だけがいい。
「千晴…」
「ん…?」
「愛してる…」
要の口から、初めて聞いた。
真剣な顔するから、ちょっと泣きたくなった。
「…私も…愛してる…」
要の首に腕を絡めて、ぎゅっと抱き締めた。要の胸で泣きたかったけど、…そうもいかなくなってしまった。
「…ちょっと。」
今までのいいムードはどこにいってしまったのだろうか。
要の手が私の背中を厭らしく滑る。
「あッ…」
と、要はちゅッと音をたてて首筋に吸い付いてきた。
「要…ッ」
「そんなにくっつく千晴が悪い…」
要は首筋に舌を這わせ、鎖骨まで滑らせる。
「ッ…要も…我慢してた?」
私は要の肩に手を置き、彼から与えられる刺激にだけ集中した。
「…そりゃあ、ね。」
「ん…ぁッ」
要は愛撫しやすいように、私を自分の足にのせる。