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愛しい人。
【OL/お姉さん 官能小説】

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愛しい人。-1

「初めまして。
今日から相馬副社長の秘書をさせていただきます、神田愛理(かんだ あいり)です。
宜しくお願い致します。」

ついに月曜日、新しい秘書がうちの会社にやってきた。
神田 愛理。23歳。
私より4つも下。
どちらかといえば守ってあげたいような可愛い系の女の子。

「神田さんには、これから俺の秘書としてやってもらうから。みんな宜しく頼むな。」

あぁ…要(かなめ)ったら、顔、緩んでる。
何がお前がいるから大丈夫、よ。結局要だってただの男なんだ。可愛くて若い女の子の方がやっぱりいい…んだろうなぁ。


―愛しい人。


「稲守先輩!!見ました?神田さん!!可愛いですよね〜」
私を見るやいなや、満面の笑みで駆け寄ってくる青年。
山崎 太一。25歳。
可愛い可愛い後輩。

「あぁ、山崎くん。」
(あんまりその話題、触れて欲しくないんだけど。)
彼はそんな私の気持ちも知らず、笑顔で新しい若くて可愛い秘書の話を続ける。
「副社長いいなぁ、あんな若くて可愛い子が秘書で。」
心底羨ましいのだろう、山崎くんは目がマジだ。
「そうね-。」
山崎くんの話を軽く流して、私はパソコンに向かった。
「神田さんは可愛いですけど、でも、稲守先輩には違う魅力がありますから!!」
「え?」
思いがけない言葉にびっくりして、パソコンから目を離す。山崎くんに視線を移すと、彼は真面目な顔をしていた。
「稲守先輩は、とても魅力的です。だから神田さんの事なんか気にしないでくださいよ。」
「あ…うん。ありがとう」
(何で慰められてんの、私。)
私は少し考えて、頭を押さえた。
「…あたし、そんな嫌な顔してた?」
「いや、違くて…僕はただ本心を…」
「はぁ〜。そうよね、うん。他人と比べたって仕方ないよね。ありがとう、山崎くん。」
「あ-…まぁそういう事でいいです。」
「?」
彼はそれだけ言うと、そそくさ自分のデスクへ戻って行った。
「何が言いたかったんだ…?」
私は山崎くんの不思議な言動に首をかしげた。
「…ま、いっか。仕事、仕事。」
若くて可愛い秘書。
いつも一緒に行動。
パソコンに向かっても、考えるのは新しい秘書と要のこと。
「いつも一緒…か。」
本当はすごく嫌だ。
気にしないて、仕事って割りきってるけど、やっぱり…
「いい気はしないよなぁ…」
チラッと副社長室に視線を向ける。
ガラスの部分から見える二人の姿に、ちょっとだけ不安を覚えた。
「大丈夫…大丈夫…」
そんな気持ちを押し込んで、またパソコンへと意識を向ける。
(仕事だから、大丈夫。)
不安なんて、ないわけがない。


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