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愛しい人。
【OL/お姉さん 官能小説】

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愛しい人。-5

「…あぁ〜…やっぱりシワになってる…。」
後輩に愚痴溢して、酷く酔って、スーツをハンガーにかけることでさえ億劫になっただなんて…
「…情けないなぁ…」
溜め息を溢すと、携帯が震えた。
「…あ、」
着信は要からだった。
「もしもし!!」
『おはよう、千晴』
「…おはよ。」
声を聞くだけで、どうしてこんなに安心するんだろう。
どうしてこんなに嬉しいんだろう。
『千晴…?』
「あ、ごめん。何?」
『うん。今日何か予定ある?』
「ない…けど。」
『昨日の埋め合わせ、今日しない?』
「…いいの?」
『うん。昨日はごめんな。』
「ううん。大丈夫」
『じゃあ、迎えに行くよ。』
「わかった。」
電話を切り、暫く余韻に浸る。
「…よしッ」
緩みきった自分の頬に喝をいれて、支度に取り掛かった。

―…
「要!!」
「お-、気合い入ってんなぁ」
「いつもはスーツだから、たまにはね。」
本当に化粧って凄いと思う。
やけ酒で荒れたお肌を綺麗に隠してくれる。
「…で、どこに連れて行ってくれるの?」
「水族館。」
「水族館?」
「前、行きたいって言ってた所。」
「…覚えてたの?」
「うん。」
たまたま二人で家にいたとき、テレビで見た水族館。そういえば、『あたし、水族館デートしてみたいんだよね-』って言った記憶がある。
あの時は、ふ-んだなんて流してたのに。
「…ありがと、要。」
「いいよ。お礼はたっぷりベッドの上で返してくれれば。」
「もう!!エッチ。」
私は要から差し出された手に、指を絡ませてしっかり握った。
私はここに、この人といる…って事を、自分に確かめさせるために。
「…そんなに強く握らなくても、俺はいなくならないよ?」
苦笑しながら、要は言う。
そんな事…わからないじゃない。
でも、そんな不安な事言えない。言わない。
「…私にぞっこんだもんね-?」
わざと冗談で返した。
「そうだよ。まじぞっこん。」
少年のように笑う要。やっぱり私はこの人が好きだ、って思った。


「わ…凄い!!可愛い!!」
ペンギンが私の目の前を歩いて行く。
「可愛い!!可愛い過ぎる!!」
よちよちした覚束無い足取りが何とも愛らしい。
「ね、要。次は何見る?」
水族館のパンフレットを開きながら、要に尋ねる。
「千晴の行きたい所でいいよ。」
要は笑顔でそう答えた。さっきからそれの繰り返し。
「…ごめん、つまらなかった?」
1人ではしゃいでたのが、何だか恥ずかしい。


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