投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

愛しい人。
【OL/お姉さん 官能小説】

愛しい人。の最初へ 愛しい人。 2 愛しい人。 4 愛しい人。の最後へ

愛しい人。-3

「困る?」
首を傾げると、違うんです!!と山崎くんが言った。
「いえ…困るっていうか…先輩の口に合うかどうか…」
チラッと私の方を見て、また困ったような顔をする。
「何よ、それ。私ってそんなに良いもの食べてるように見える?」
「はい!!」
元気に即答された。
「マジでか…。全然そんな事ないから。で、どこ連れて行ってくれるの?」
これも一種のジェネレーションギャップだろうか。
たった2歳しか変わらない会社員が、そんなにいい物食べてるだなんて思ってるのだから。
「…もんじゃのお店とか、どうですか?」
おずおずと山崎くんは私に提案した。
「もんじゃ!!あたし、大スキなんだ!!よし!!じゃあ行くぞ-!!」
私は山崎くんの手を引いて、もんじゃのお店へと向かった。
今日は、何だかわからないけど…飲みたい気分だった。


「今晩は-。」
山崎くんが連れてきてくれたもんじゃのお店は、こじんまりしてるちょっと古めのお店だった。
「いらっしゃ-い。おぉ、太一!!」
「ど-も、おいちゃん。」
威勢のいい声で迎えてくれたのは、どうやら山崎くんの知り合いのようだ。
「何だぁ、彼女かぁ?か-!!こんな別嬪さん捕まえて!!」
お決まりのジェスチャーで尋ねられる。
(あの、小指立てるやつね。)
「ちッ、違うよ!!俺の先輩!!…ごめんね、稲守先輩。」
困っているような、そうじゃないような表情で山崎くんは私に謝った。
「ううん。山崎くんの知り合い?」
「うん。小さい頃から来てるんだ。」
「へぇ。いい感じのお店だね。」
こじんまりしているけど、どこか懐かしい感じのするお店だった。
「うん。あ、先輩、何頼みますか?」
「とりあえずお酒と…山崎くんのおすすめを適当に。」
「わかりました。」
山崎くんが注文に行っている間、浮かぶのはやっぱり要のことだった。
今頃、神田さんとお偉いさんの接待しているだろう。
「…先輩。」
「ん?」
山崎くんがお酒片手に席に戻ってきた。
心配そうな顔で、こっちを見ている。
「どうしたんですか?」
「ううん。さ、飲もう飲もう!!」
考えても仕方ないのだから、飲むしかないのだ。
「今日はとことん付き合ってもらいます!!」
「え゛」

―…

「男ってやっぱり若い女の子の方がいいんでしょぉ-?」
「先輩…飲み過ぎですって。」
口調変わってます、と苦笑気味に山崎くんは言った。
「大丈夫。全然酔ってないぃ。」
ん、と山崎くんにコップを向ける。
「まだ飲むんですか?」
「つ、い、で」
山崎くんはむ-と唸り、渋々コップに日本酒をついでくれた。
「これで最後にしてくださいね?」
「は-い。」
くぃッとお酒を飲むと、喉がくぁぁッと熱くなった。
「ん〜、うまい。」
美味しいんだけど、やっぱり何か物足りない。
「ん〜…」
年季の入った机に頬を寄せると、ひんやりとして気持ちがよかった。
「ねぇ…」
「何ですか?」
「やっぱり…山崎くんも若い子のが好き?」
視線だけ山崎くんに向ける。
「う-…んと、僕はそうでもないです。」
「そう…」
視線をコップに戻した。透明な液体がコップの半分の所までつがれている。


愛しい人。の最初へ 愛しい人。 2 愛しい人。 4 愛しい人。の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前