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愛しい人。
【OL/お姉さん 官能小説】

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愛しい人。-2

―…
数日後

「…え?」
「ごめん。今日、接待入っちゃった。」
要はごめんと片手でポーズを作った。
「そう…それじゃあ仕方ないね。」
今日、本当は一緒に映画に行く約束だった。やっと行けるはずだったのに。
「埋め合わせは今度するから。悪いな。」
申し訳なさそうに謝る要を見て、怒る気なんて起きなかった。
「相馬副社長、下にお車を…」
ひょこっと神田さんが顔を出す。
「わかった。今行く。じゃあな、千晴。気を付けて帰れよ。」
要は私の頭にキスを落として、神田さんの後を追いかけていった。
「うん…」
キスされた所を手で触れて、今まであった温もりに目を閉じた。
彼が忙しいのは、副社長だから。
ドタキャンなんて、今までだってあった。
「別に…神田さんのせいじゃないんだけど…」
考えすぎだな、と、思った。
「また今度…行けばいいや。」
寂しいから行かないで、なんて言えない。
そんな可愛い事を言って許される年じゃない。
「…残業して行こうかな。」

神田さんが秘書になって、しばらくたった。
今までと変わらず、要にコーヒーを淹れて、肩を揉んだりもさせてもらっている。
けど、やっぱりどこか不安で…
特に今週なんて、デートもエッチもなし。
「はぁ〜…」
まぁお互いが忙しいから仕方ないんだけど。
神田さんが秘書になってから、極端に二人の時間が減ってしまった。
前なら昼休みも一緒にいれたんだけど…。
でも、今はムリ。付き合ってること、みんなにバレるのは嫌だし。

「…くぁ〜ダメダメ!!」
一人でいると、どうしても悪い方へ悪い方へ考えてしまう。
「…コーヒーでも飲もう。」
私は給湯室に向かった。

「「あ。」」
給湯室には、山崎くんがいた。
「あれ、山崎くんも残業?」
「稲守先輩もですか?」
「うん。用事あったんだけどさ、ドタキャンされちゃって。」
山崎くんは私の話に相づちを入れながら、私にコーヒーをついてくれた。
「そうだったんですか…。」
どうぞ、とコップを差し出す。
「うん。ありがとう」
温かな湯気に、煎れたばかりのコーヒーのいい匂いが鼻をつく。
「あ、それなら、ご飯食べに行きません?」
「え?いいの?残業は?」
山崎くんは私が返事をする前に、コーヒーを一気に飲み干した。
そりゃあもう行けます!!みたいな感じで。
「もう終わって、後は副社長のチェック貰うだけなんですよ。」
「そうか。うん、いいね。じゃあ行こう」
どうせ一人でご飯食べる予定だったんだから、断る理由がない。
「はい!!」
嬉しそうに返事をする山崎くんを見て、若いっていいななんて思った。
(そんな年でもないはずなんだけどな…)


「何処に行きます?」
コートを羽織り、会社を出ると、もう外は真っ暗だった。
「ん-…じゃあ、いつも山崎くんが行く所に連れて行って。」
「え、でも…」
山崎くんは少し困ったような顔をする。


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