記憶のきみ11-3
『大丈夫か!?』
「私、明石悦乃」
「野球してるんだ」
『早く治して試合に』
『好きなんだろ?』
「………好き」
「忘れない」
『忘れない』
そのとき、瞬はすべてを思い出した。
「はぁ…はぁ…瞬…く…ん」
『俺は……あのとき』
瞬は悦乃を背負うと屋上を飛び出した。
『……屋上で』
階段を駆け下りる。
『……一緒だ』
ふたりの出会いにはなにがあったのか。
その真実が明かされようとしていた。