貴方の妻にしてください3-3
彼が、作るんだ・・・。心の中でそう言って京香はこれから展開する夫婦生活に思いをはせてみたが予想がつかなかった。
オーナーから直接連絡があったのは
「危害はない。安心してご主人を愛してあげてください」とのこと。
オーナーが自ら連絡してくるのは滅多とない。信頼と安心感が強まる。
そう思ってると少し眠くなってきた。
室温設定がやけに高い。それも要望だ。暑い、、のどが渇いた、汗ばんできた。
ぼんやり浅い眠りのなかで意識が朦朧としていた。
突然抱え上げられて眼が覚めた。
「汗をかいてるね」
そういうと一也は京香をベッドに腰掛けさせてセーターを捲くりあげた。
手錠を片手だけはずして袖を抜き、セーターを脱がせ、スカートも脱がせた。
髪が汗て゛額から頬に張り付いている。
薄いベージュのスリップも胸元の汗で張り付いている。
ブラジャーはしていない。
露に透けた胸は華奢な体に似合わずかなり豊かである。
ただ、紙おむつのリハビリパンツだけがどうしても異様だ。
「京香・・・」
「・・・は・い・・」意識がまだおぼろで、喉も渇いていて声がはっきりでない。
「綺麗だよ。愛してる」 脱がせたあと、またすぐに拘束した腕を引き寄せて一也は京香の口に口をつけた。
「んぐ・・っ!?ん・・・ぐ・・・ごくっ。。」 一瞬冷たく、だが生暖かくなったビールが一也の口移しで京香の喉を通った。
「くはぁ!、、、はぁ、はぁ、、。」
突然のことで京香はむせないように飲み込むのが必死で、飲み込み終えたあと、呼吸を整えるのに肩で息をした。
「上手に飲めたじゃないか」 そしてまた、一也はビールを口に含み京香へ移す。何度も何度も、一缶のビールがなくなるまで、それは繰り返された。
「くはっ、、っ、はぁ、」呼吸を整え直す京香の汗で張り付いた髪を優しく手櫛で耳にかけながら、一也はそっと京香を抱きしめて、京香の頭を軽く自分の肩に寄せ髪を撫ぜる。
愛おしく慈しむように優しい抱擁である。
喉が渇いていたので苦にせず飲み込んだ京香だが、口移しで飲まされる冷たい部分と生暖かい部分の奇妙な温度のビールが胃の中でさらにぬるく醗酵していくかのように酔いの回りを感じる。
たくさん飲まされたのに、まだ喉は焼け付くように渇く。
一也は肩にもたれかけていた京香の頭を起こすと頬とあごを掴むようにして顔を自分に向けた。
京香の目はトロンとしている。まどろみのままビールを飲まされて意識の朦朧が取れない。
一也はそのまま優しく京香の上半身を、後ろ手に拘束されている京香の身体を支えながら口づけをした。
京香は反射的に何かがまた、口のなかに流れてくるのかと身を硬くしたが今度のは優しく甘く味わうような舌の動きで京香の舌を捕らえるキスだ。
「ん・・・ふ・・・は・・・んちゅ、 はうっ・・ふ・・は」
とても優しくて、とても気持ちいい。京香は自然と力が抜けて思考も消えていく。
京香自らも求める・・・という反応ではなく、ただ ただ 身を任せることにふわふわとゆらゆらと どこかに彷徨い漂うような心地よさで身をゆだねていた。
「あぁ・・」
あまりの心地よさに声を漏らすと一也が唇を離れた。
「静かに・・・」
京香は顔が熱くなるのを感じた。赤くなっていることだろう。
一也の心地よいキスに声をもらし、たしなめられた。
吐息は許されても声をもらすことは許されないようだ。
はしたない、恥ずかしい。そんな気にさせる嗜めだった。