ある淫魔のライフスタイル〜深紅の魔女ミーティ〜-27
27話
「……ねぇ、私どれくらい寝てたの?」
「ん〜……一時間くらいじゃないですか?」
「ふぅん…そっか……」
ミーティはぴったりとジェイドに寄り添うと、手にしている本を覗いてみた。
「……面白い?」
「えぇ、面白いですよ。」
「ふぅん……」
ミーティにはやはり面白いとは思えなかったが、他にすることもなく、何よりジェイドの側にいたかったので一緒に本を読むことにした。二人の間から会話が消えた。
パラ……パラ……
リズム良く紙を捲る音だけが聞こえてくる。他の音は何も聞こえてこない。静かな二人だけの時間が過ぎていく。
本を読み始めてからどれくらい時間が経ったのだろうか。閉ざされた書庫の中では時間の経過が分かりにくい。
「くしゅっ!」
ミーティの可愛らしいくしゃみにジェイドが本から顔を上げた。
「大丈夫ですか?」
「うん……でもちょっと冷えたかも。服着るね。」
ミーティはジェイドに上着を返すと扉の方へ向かい、脱ぎ捨てた服を着始めた。太股やお尻は淫液が乾いた跡になっていたが気にする様子はない。
「これで良しっと。」
服を着て立派な魔術師の姿に戻ったミーティ。相変わらず下着は着けていないのだが。
ジェイドはミーティが服を着たのを確認すると本を閉じ、傍らに置いた本の束を手にした。そして立ち上がると、本を元の棚に戻していく。
「あれ?もう良いの?」
「ええ、そろそろ出ないとマズイですしね。それに扉に『施錠』の魔法がかかってるのに気付かれたら怪しまれますよ。」
「あ、『施錠』かけてるの気付いてたんだ……」
「もちろんです。そうでないとあんなこと出来ませんよ。さ、早く出ましょう。」
「そうね。」
ミーティが指をパチンと鳴らし、扉の『施錠』を解くと、二人は薄暗い書庫を後にした。