ある淫魔のライフスタイル〜深紅の魔女ミーティ〜-2
2話
しばらくして女がようやく身体を起こした。その動作はひどくゆっくりとしていて、目はまだ虚ろなままだ。その様子が先程の情事の激しさを物語っている。
男の方はすでにズボンを穿いてキッチンにいた。戸棚からカップを二つ出してコーヒーを注ぐ。カップから湯気が立ち上る。
男はベッドで気だるげな表情をしている女の方を向いて尋ねた。
「ミーティさんは砂糖とミルクどうします?」
ミーティと呼ばれた女は少しの間の後に返事をした。
「……お砂糖……一個だけ……」
男は分かりましたと言って、注文通りミーティ用のカップに砂糖を一個入れた。そして自分のカップにはミルクを注ぎ、砂糖は三個も入れた。どうやらかなりの甘党のようだ。
男はコーヒーをベッド横の小さなテーブルに運ぶとミーティにどうぞと勧めた。自らはミーティと向かいあう位置に椅子を動かして腰掛ける。
ミーティは勧められるままにコーヒーを口にした。一口飲んで息を吐き、じっと男の顔を見つめた。
「……どうかしましたか?」
視線に気づいた男が尋ねた。
「ん……ジェイドのセックスってやっぱりすごかったなって思って……」
そう言ってもう一口コーヒーをすする。
「悦んでもらえて良かったです。」
ジェイドと呼ばれた男は笑みを浮かべ、言葉を返した。その言葉で先程の自分の痴態を思い出し、ミーティは顔を赤らめた。
「アハ……私、すごく乱れちゃってたね……」
「可愛かったですよ。」
ジェイドがまた笑みを浮かべ、ミーティはさらに顔を赤くした。
「でも……まさか僕の正体に気づいているあなたに誘われるなんて思いませんでしたよ。」