俺の彼女と妹の怖いところ-2
そして、翌日。
ある意味、山本家にとって運命の日。
居間には山本家の母と息子が二人。
「ハハハ…母さん、ついに夜が明けたよ」
「フフフ…そうね…結局、何にも出てこなかったわね。あ〜朝陽が目に染みるわね〜」
二人とも夜通し会議を繰り広げたため、もう満身創痍状態。
「そういえば…あいつって何時にくるの?母さん」
もう頭がイッてる状態で俺は母に聞いた。
「そうね〜確か…」
母は時計を見ながら思い出す仕種をする。
現在、時計は午前10時を指している。
「10時くらいに…」
「たっだいま〜〜!!!」
「………」
二人とも沈黙。
ついにきたよ、ヤツが…
俺と母はゆっくりと玄関に向かった。
二人で協力協定をアイコンタクトで結びながら。
「不承、山本奈緒。恥ずかしながら帰ってまいりました〜」
ビシッ!と敬礼のポーズをしながら楽しそうに帰還報告をするデビルドーターもとい山本奈緒。
「いや〜〜ん、お帰りなさぁ〜い!奈緒ちゃ〜〜ん」と母が奈緒に抱き着く。
ほほえましい姿だ…
母の必死さが伺える。
証拠に後ろから見る俺には母の背中が汗びっしょりになるっているのがわかる。
「お母さん、久しぶりだね〜」
そう言って奈緒はアハハ〜と笑う。
こんな時は素直な性格が変わってない事を兄として安心する。
しかし…
「お母さん、ほらもう離して。今度は私の番なんだから」
奈緒はそう言って母を振りほどいた。
そして、玄関で靴を脱ぎ、
「ア・ニ・キ〜〜〜〜!!」
俺にダイブ。
「ゴハァ!!」
俺は奈緒に抱き着かれてその勢いで倒れた。
「う〜ん。久しぶり〜♪兄貴の匂いだ〜♪」
そう言って奈緒は俺に頬を擦り寄せてくる。
「おい!奈緒、やめろよ!お前は猫か!!」
「えへへ〜♪ごろにゃーん」と言って奈緒はじゃれてくる。
しかし、そんな家族の再会を微笑ましく終わらせたらラブコメじゃない。
てなわけで、
「こんちわ〜和之いる〜?」こんな絶妙なタイミングで俺っちの彼女さん登場。
「あら、優菜ちゃん。いらっしゃい」
と普通に挨拶する、母。
そして、アイコンタクトで(頑張れ♪)
と告げる。
この裏切り者ぉーーー!!とアイコンタクトで叫ぶ。
そして、そんなアイコンタクトの会話の直後に空気が凍り付く。
「な、なな、ななな?」
と来訪者の彼女さんは不可解な言葉を発する。
あ〜このパニクり方は若菜の方だな〜
と冷静な判断をしつつ、改めてこの状況をヤバイな〜と思っちゃったりする俺。そして、若菜だったら多分こう言うだろうな…
「何やってんだこの浮気野郎ーーー!!」
……やっぱりね。
というわけで現在に至る。現在の時刻は午前11時、場所は山本家の居間。