『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-230
「………」
引き締まった全身の筋肉。それを見つめる晶の視線は、やはり蕩けたままだ。“筋骨隆々”というわけではないが、バランスの良いその肉付きは、何度見ても美しい。背中に綺麗な対称三角形を描くふたつの僧帽筋と、絞り込まれた大臀筋などは特に…。
(あぁ……)
それを見つめるだけで、晶の動悸は更に高くなる。エンジンが過剰なまでに回転を起こせば、その熱量は更に増すから、体内のあちこちで燻った火種は、いよいよ炎に変わってきた。
「さて……」
なにやら紆余曲折した挙句、晶よりも先に裸になってしまったが、彼女の身も生まれたままの姿にしさえすれば、事は次の段階へ進む。
その行為の宿願は、もちろん互いの身を慈しみ、睦みあうこともそうであるが、もともとが新たなる世代の構築である。そしてそれは、愛する妻が強く望んでいる“結果”でもある。
「亮……」
「ん?」
晶の声に導かれ、振り向いた亮。刹那、美しい光に心を奪われた。
「ごめん……脱いじゃった……」
薄闇の中で煌くのは、一糸まとわぬ晶の裸体。彼女は、亮が後ろを向いた一瞬の間に、体を覆う全てのものを脱ぎ払っていたのだ。
「熱くて……たまらなくて……ごめんね……」
「いや、いいんだ」
“どういう手順で裸に剥くか?”という浅はかな欲望など、晶の美しい裸身を見れば露のごとく消え去ってしまう。彼女の体は、それぐらい艶のある輝きを放っていた。
「とても、綺麗だよ…」
「うん……嬉しい……」
純粋な美がそこにある。たとえ月並みな科白になろうとも、他の麗句を繋げることは野暮にしか思えなかった。
「亮……抱いて……」
「ああ……」
真っ直ぐに伸ばされた指先を、亮はしっかりと捕まえた。目の前に現れてくれた美しい女神を、何処にも逃がさないようにと…。
絡まった指を引き合うようにして、二人はひとつに重なる。そのままもつれあいながら、飛び込むようにベッドの上に身を横たえた。
「ん……んん……んぅ……」
「晶……晶……」
剥き出しになった互いの四肢を絡め、世代を継ぐ行為に没頭していく。
「あっ……んっ、あんっ……!」
小ぶりではあるが、極上の形を持つ晶の乳房。手の平にそれを収めて、力加減に気をつけながら、亮は抑揚をつけて揉み込んだ。
「んっ! んぅっ……!」
感度もいい。指先にわずかに力を込めるだけでも、晶の身体は敏感な反応を起こして、自分を愉しませてくれた。
(最高だ……)
手の平いっぱいに広がる、しっとりとした張り具合。命を育むための栄養が、ここにはたっぷり詰まっているのだ。
はむっ…… ちゅぅ、ちゅぅ……
「ん、んんっ!」
その味を知りたくなり、先端を口の中に含んで吸い出してみた。気分はまるで、赤ん坊である。
「あっ……んん……んっ……んぅっ…」
ただ、赤ん坊はそれほど舌を上手に使わない。固くなっている先端を、舌の先で突っついたり、ぬるりと嘗め回したりしないはずである。
「おっぱいなんて……まだ、でないよ……」
ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅっ、ちゅぅ……
「んぅっ……も、もう……しょうがないんだから……」
承知の上で、亮は乳首を吸い続けている。まるで幼子に帰ったかのように、無心にしゃぶりついているのである。それもまた、男の浪漫というべきなのだろうか。