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崩れる日常
【初恋 恋愛小説】

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二人の日常-2

「昨日は楽しかったね!また行きたいな〜。」
「そうだね。結構歌わないで喋ったり、まったりしてたけどね。」
「あはは!確かにそうだった。」
「そういや、昨日ごめん。あんな事したりして。」
「…あんな事?」
「……急に抱きしめた事…
…嫌だったんじゃないかと思って。」
「…ううん。別に嫌じゃなかったけど…」
「……そっか。でも…ごめん。一応…ねっ?」
「…うん。気にしてないよ。」
「……」
「……」


言葉に詰まる…
こんなときはなんて言葉をかければいいんだろう…。

軽く溜め息が出る。


「…どうしたの?」

普段なら気にとめる事もないであろう些細なアクションにもこの状況では敏感になってしまうようだ。


…俺はついに覚悟を決めた
…今、変わらなければ!

今度は深呼吸をして

「…そのさ…俺達ってどんな関係なんだろうな…?」「……どんな関係…?」
「その……友達以上恋人未満って言うかさ…」
「……」

心臓は昨日より早く
だが昨日とは違った感情に鼓動を急ぐ。
俺はこの状況に期待して、高揚している自分に気がついた。
…おかしな気分だ。

「…そうだね。微妙だね。」

この肯定の言葉は俺の背中の最後の後押しには充分なものがあった。
次に俺はもう後戻りできない言葉を言うだろう。
今の俺はそうとしか出来ない状態だった。


「…俺はもっと池上さんに近づいてもいいのかな?
つまり……好きなんだ……
俺じゃ恋人にはなれないかな?」


…言った。
心臓は言い終わると同時に一気に平常の動きを取り戻す。
思えばまだ短い生涯だが
初めて求愛の言葉を口にした。
俺は彼女に向かって踏み出した。
無心で返事を待つ…
…彼女は歩み寄ってくれるだろうか?


…結論はすでに出ていたようだ。




「うん。恋人になろう。」

「……池上さん…本当に…俺で…?」

「うん。ただ一つ条件!」

「な…何?」

「…今度からは付き合ってるんだし敬語は使わないこと!」

「なんだ…そんな事か…。でも慣れるまでたまに出ちゃうかもしれないけど。」

「それは仕方ないよ。
…それともう一つ!」

「…もう一つは?」



「……名前で呼んで」


千裕は恥ずかしそうにそう言った。


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