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記憶のきみ
【青春 恋愛小説】

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記憶のきみ7-6

“続いてはエントリーナンバー八番、シックスの皆さんです。かなり変則的なバンドですが、実力は如何に?それではお願いします”
シックスという安易なバンド名は、その通り安易に考えた名前だ。しかしなかなか語呂がいい。

ゆっくりと入場する六人。
アンプを調整しつつ、目の前を確認した。
『………あぁ?』
ステージの下には、大勢の観客が皆、じっと俺達を凝視していた。
誰も喋ってなどいない。
俺は別段、緊張もせずに待ちかまえていたが、この視線と空気を感じた今、緊張しないわけがない。

『はは………なんで俺らがここに立ってんだ?』
「………あっはっは」
「………手が震えてヤバいよ」

目の前には大勢の観客が、今か今かと待っている。
上からは明るすぎる照明が体を火照らせる。


由貴はマイクを調整すると、ゆっくりと喋りだした。
「えっと…初めまして。シックスです。紹介の通り、ツインボーカルにギター、ベース、ドラム、そしてキーボードと、かなり変則的なバンドです。あたしたちはまだ組んで間もないバンドですが、よかったら楽しんでください」
由貴が淡々と語ると、青空に合図する。
青空は頷くと、スティックを叩き始めた。

カッカッカッカッ…
さあ、六人の友情が詰まったライブの始まりだ。





六人は焼肉食べ放題の店に来ていた。
「はぁ…しっかし微妙よね」
由貴は肉をつつきながら不満を漏らした。
『いいじゃねーか。ほぼド素人のバンドが第三位だぜ』
隣の瞬がにっと笑う。
俺達シックスは、バンドコンで見事第三位に食い込んだのだった。
「せや、激安店やけどタダで飯食えるんやから」
「それに楽しかったもんね」
「………また、いつかやりたいね」
「うん♪」



そうさ、大学生活はこれからも続いていくんだ。
次の学祭は、みんなで笑って、きっと優勝しよう。


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