impertinent teachar&student−5-7
『なんでそんな嘘つくのよぉ〜』
『家、汚いから』
嘘だった。
物なんか数えるほどしかないし、掃除はほぼ毎日していた。
『そうなの?じゃ、愛美が掃除してあげるよ?』
女特有のキーが高い声で話す。
俺は、この声があまり好きではなかった。
『そんなの、悪いからいい』
『愛美は、気にしないよ?』
俺が気にする。
ってか、22歳にもなって自分のこと自分の名前で呼ぶな。
『いやいや…って、何すんだよ。』
煙草を愛美に取られた。
『愛美の前で吸わないでよ〜煙草の匂い、好きじゃないのよ』
愛美は、煙草を灰皿に押し付ける。
『勝手なことするなよ。俺の楽しみを』
『なんで?愛美と楽しいことしたらいいじゃない?』
そう言って、愛美は俺の胸に頬をくっつけてくる。
そんな姿を俺は上から見る。
茶色い髪をよく見てみると、生え際が黒くなってきていた。
美雪ならそんなことはなかった。気を使って、こまめに染めていた。
肌も、愛美は俺が見ても分かるくらいにファンデーションを塗りたくっていた。
だから、愛美は風呂に入りたがらないんだ…
美雪なら、そんなことなかった。
すっぴんでもすごく可愛かったし、色っぽかった。
俺は気づいたら、愛美と美雪を比べていた。
それから彼女とは一年ほど付き合って別れた。
原因は、俺が冷たいから、らしい。
まぁ、そう思われても仕方ないかと、あまり落ち込まなかった。
俺の胸から、美雪への思いが消えることはなかった。
少しでも消していこうと思い、マンションも引っ越した。
彼女と共に過ごした家具は全部売り払い、学校からわざと遠いマンションを借りた。
そうすることにより、彼女への思いは断ち切れる。
そう思ったから。