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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-33

「あー勘違いするな。それについては咎めるつもりは無いらしい。
ただお前らに会いたいって人がいるんだ。」
そう冷静に答えるヴェイルだったがアルス達はジェラルド兵に捕らえられた時点で完全に死刑にでもされると思い込んでいていて、ヴェイルの言うことは嘘にしか感じなかった。
五大王国一巨大な権力を持つジェラルド。
その国は国王デェルフェムートの独裁国家であり、権力に物を言わせて他国に圧力をかけて言いなりにし、理由は解らないが魔物まで作りだしている。
また、ジェラルドに逆らう国には進軍をして制圧をする。
それらは噂に過ぎないが、あらゆる黒い噂の絶えない国だった。
事実ジェラルドは過去にはホーリーともリィズとも戦争をして屈服させていた。
そして現在はヒーティアと戦争中である。
そんな国に捕まって無事である筈が無い、アルスとフォルツはそう考えていた。

「大丈夫・・・だと思います」
するとルナがふと口を開いた。
「何がだ?」
「私は、ヴェイルの言っていることは嘘では無いと思います。
きっと何か理由があってこういったことをしたんだと思います。」
「んなこと言ったってなあ」
「ヴェイルは仲間を裏切るような人ではな無いことはあなた達が一番解っている筈です。」
そのルナの言葉でアルスとフォルツは少し考える。
そしてアルスはヴェイルとレーヴェスとの戦いを思い返す。
あのレーヴェスに対する思いは決して嘘では無かったことを、自分達に近付くための作り話では無いことを。
そしてアルスとフォルツは心の奥底ではヴェイルが自分達を裏切るような人間ではないことくらいはとっくに理解していた。
ただ目の前の現実との矛盾がそれを受け入れさせることを許さなかった。
とりあえず食事を取ることにする三人。
アルスとフォルツは空腹を満たすように僅かな時間でたいらげる(ルナはマイペースに食べているが)

そして船はシーラ王国の海域を越えジェラルド王国の海域に入ったようだ。
「よーしお前ら後少しだからな」
ヴェイルが元気良く語りかける。
「このテンションがムカつく。」
「あーあ、せっかく海にいるんだから海釣りでもしたいなー!」
愚痴をこぼすアルスとフォルツ。
次の瞬間だった。
船がもの凄い勢いで揺れた。
小さなその船は横転しそうになった。
「うわぁぁぁあヴェイルさーん!!」
一人のジェラルド兵がヴェイルに助けを求める叫びを上げた。
「何があった?」
「魔物です!巨大な!!」
ヴェイルが目をやるとその魔物は巨大なヒレを海中から覗かせていた。
「あれは!サーペント!!」
【サーペントは巨大な鮫のような魔物で海中に潜んでいて、強力な牙と尾ビレで攻撃してくる。
海中では最強の魔物である。
そしてこの魔物に撃沈された船は数知れない。
巨大な武装船であっても沈まされることすらある】
「ちい!こんな小さな船でサーペントに出ぐわすなんてついてねえ!!」
ヴェイルは双剣(アークディオクロス)を抜く。しかしサーペントは海中にいる。
「裂光閃・燕鷲!!」
ヴェイルは四つの技の内、唯一の遠距離技の裂光閃を放つ。
しかしその斬撃の波動は当たり血が吹き出たものの海中の敵には効果は薄くサーペントに致命傷は与えられない。
接近戦を得意とするヴェイルには相性が悪い相手だった。
また、船上からジェラルド兵達も弓を放つが効果は期待できない。
そして次の瞬間サーペントが船に向かって突撃してきた。


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