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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜A
-32

"バッ"
民家の中から突然、茶色い布で顔や体をまとった一見密偵らしき男達が一斉に飛び出した。
10、20人はいる。
そしてアルス達を取り囲む。
「きゃあ!」
「なんだてめえら!!」
「ちっ!」

その事態にアルスとフォルツが剣と杖を抜こうとした時だった。
「動くな!」
ヴェイルの双剣(アークディオクロス)がアルスとフォルツの喉元に突き立てられた。

「なっ!!」
突然のヴェイルの行動にアルスとフォルツは反応することが出来なかった。
また、剣を突き立てられているアルスとフォルツを見てルナもまた動くことが出来なかった。
「よし今だ」
ヴェイルがそう言うとアルス達を取り囲む男達はアルス、フォルツ、そしてルナの手を後ろで組ませて手錠をかける。

そして自分の手に錠をかける男を見てフォルツはハッとした。
布の僅かな隙間から見えるその男の顔は以前フォルツがジェラルドの酒場で、光呪文で吹き飛ばした男だった。
「てことはこいつらは・・・・ジェラルド兵!?」
「裏切ったな!ヴェイル!!」

「・・・・・悪いな。
今まで黙ってたが俺はジェラルドに所属してるんだ。」
「!!」

ジェラルド兵達に捕らえられたアルス達三人は馬車に乗せられ夜の港まで連れて行かれた。
やはりジェラルドまで連行されるようだ。
それから、闇に溶け込ませるような暗い色の船に乗せられた。
闇夜の中 船は海を渡る。
「・・・・・」
船の独房の中で黙りこむアルス達。手錠をされたままで、武器も取られているようだ。
そしてジェラルドに捕らえられたことよりも、今まで仲間だと思っていたヴェイルに裏切られたことにショックを隠しきれなかった。
また、その独房の小さな鉄格子から外の様子が伺える。
船は割と小さめで偵察用のような船だ。独房を含めて部屋は二つしかない。
また、甲板には十数人のジェラルド兵が立って周囲を警戒していた。
ヴェイルは独房の前でアルス達を警戒する。
そして船に乗せられてから三時間後、ヴェイルが食事を持ってきた。
「ほらよ腹減ったろ?」
ヴェイルが持ってきた食事はでかいパンとミルクが三人分だった。
ヴェイルは食事の乗った金属の食器ごと扉の下にある小さな受渡し口から渡す。
そしてそれを受け取った後、鉄格子ごしにヴェイルを睨みつけるアルスとフォルツ。
「な、なんだよ。そんな見つめるなよ照れるだろ。」
二人に睨みつけられているのに気付きたじろぐヴェイル。
「短い付き合いでも、俺はあんたは信用できる人間だと思ってた!どうやら俺の目は節穴だったらしいな!」
アルスが怒りに震える。
「なんだってこんなことする?
なんでジェラルド兵二、三人ぶっとばしたぐらいでこんな他国まで捕まえにくるなんて手のこんだことするんだよ!?それにルナは無関係だろ?」
フォルツはあらゆる疑問を怒りに任せてヴェイルに投げ掛けた。


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